これはある本で読んだ話です。場所などは忘れてしまったのですが、あるスポーツ部が合宿に行ったときの話です。
合宿の初日、昼間は部活動、夜は旅行気分で遊んでいたそうです。皆で部屋で話をしていて時間はもう深夜、そのうち話題は怖い話になり、それぞれ怪談を語っては盛り上がっていきました。
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そして部の先輩に順番が回って来たとき先輩は「話してもいいけど俺は責任とれないけどいいか?」と言ったそうです。回りは少し緊張しながらも「話してくだいよー」というので、先輩は話しはじめました…。
これは俺も聞いた話なんだけどな、俺の知り合いがある夢をみたそうだ、それはこんな内容だったらしい。夢の中で河原に立っていた、やけに生々しい感覚を覚えたそうだ、んで河原に立ち尽くしていると川岸の所で薄い茶色っぽい着物を着た婆さんが砂利にしゃがみこんで石を引っ繰り返しては戻しを繰り返していたそうだ、んでそいつはその婆さんに尋ねたんだと。
「どうかしましたか?」
すると婆さんは「目を探しとるんだが…見つからないんじゃ」と答えたそうだ。
婆さんは石を引っ繰り返してた手を止めて、
「お前さんがワシの目を探してくれないかのう、どうも不便でな…見つからなかったら、ワシがお前さんの右足を売るけぇ」
と訳のわからないことを言いながらこっちを見上げたらしい…。たしかに両目が無いそうだ…さすがに逃げ出したくなったけど襲われそうな気がしたので、仕方なく探すことにしたんだと。
探してる間に急に横から婆さんがこちらの顔を覗き込んだりしてきたらしいよ。
そいつはもう限界だと思って逃げようとすると、婆さんがガシッと足を掴んで
「逃げられんちゃよぅ、ヒヒヒ」
と掴んだてを放さなかった。
もうそいつもパニックになって悲鳴をあげながら夢中で砂利を掘り返したそうだ…。すると地面のなかから二つの目玉だ出てきて、気持ち悪いのも忘れ、ニュッと目玉を取り出して婆さんに渡したら、婆さんは
「おぉ、ようやったようやった、ありがとのぅ」
と感謝の言葉を吐いたが、明らかに残念そうな顔をしていたらしい。
その証拠にそいつが立ち去ろうと歩きだしたとき後ろから
「もうすこしだったのに…」
と聞こえたらしい。それで夢の話は終わりだ、でも一つ忠告がある…。先輩のその言葉に回りは息を呑んだ。
「この話を聞いたやつはこの夢をみちまうんだよ…」
この話を最後に怪談は終わり恐怖心でいっぱいの中皆眠りに就きました…。そして朝になり部活の練習の時間になりました。しかし一人練習の時間になってもでていない人がいることに気付いた先輩は呼びに行ってくれと後輩に頼みました。
後輩が呼びにいくと彼はまだ寝ていたようです、体を揺すって寝ている彼をお越すと、起きた彼はなんで起こしたんだ!と怒ったあと、あの話をした先輩に不安そうにこういいました。
どうやら彼も例の夢を見てしまったようです…やはり彼の夢も河原に立っているところから始まったそうです。目がない婆さんに目探しを頼まれるところも同じだったのですが、一つだけ明らかに違ったところがあったそうです。せっかく地面をほって目玉を探しているのに、婆さんが掘ったところに砂をかけてうめてしまうのです。それで途中で起こされてしまったそうです。
それを聞いた先輩は「ばか、こんなの作り話に決まってるだろ、心配すんなって」それでその場は終わったそうですが目玉をみつけられなかった彼は数か月後、右足の無い変死体で見つかったそうです。
俺はこの話を聞いたのではなく読んだせいなのか今の所例の夢は見ていないのですが、2年前に宿泊学習の夜、この話を友達に話してしまいました…。翌日俺の話を聞いたうちの一人が「俺、話の夢みたんだけど…目玉みつけられなかった…」と言っていました。
本当にみたかみてないかはわかりませんが、彼は今でも元気にいきてます。これからも何もないことを祈ります…