【命を落とす者】実家に伝わる『石崩し』の儀式

俺んちに祭ってある屋敷神様、石積んであるだけなんだけど、子供が触ると祟られて死にかけんだぜ。実際、じいさんも親父も俺も娘も息子も小さい頃、その石を崩して死にかけた。死ねばそれまで、生き残れば神様が守ってくれるっていう約束らしい。4歳になったら適当なときにみんなの前で崩す。崩したら、親が体を清めて積みなおす。俺の嫁はそんなの信じなかったけど、娘が崩した夜にいきなり嘔吐高熱下痢で、救急搬送されたの見て、信じるようになった。もしこの子が死んだら離婚するとまで言われたけどな。結局助かって弟の番になったんだけど、嫁はずっと神様にお参りしてた。んで、弟も死にかけた。結局、親父の妹と、俺の妹は死んだ。

知ってる限りでは、じいさんは太平洋戦争で何度も命拾い、帰ってきてから事業大当たり、県議になんとなく当選。現役社長。親父はじいさんの事業を変な方に拡大、でもそれが当たり。俺はなんとなく誘われてなんとなく野球やって、勉強できなかったけど、友達に誘われて入った高校でなぜかレギュラー取って、公立ながら全国制覇。かなりマグレ的な。その年以降全国すら行ってません。んで、同級生となぜか運命的に再会し結婚。なんとなく脱サラして、なんとなく会社やって、なんとなくそこそこ裕福な暮らしできるように。

嫁には妊娠したときに石崩しの話はしてました。離婚の話まで出してきたけど、今ではすっかり家内として立派にやってます。全部屋敷の神様の導きだとみんなが思ってるんでそのあたりオカルトですね。

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