祖父から聞いた話。
うちの祖父は、戦争中に所属していた部隊が壊滅して、生き残ったのは祖父と、もう一人○○軍曹だけだったそうです。しかし、祖父は負傷していて、足手惑いになるから置いていってくれと頼んでも、その軍曹は頑として聞かず、祖父を見捨てずに本隊まで連れて帰ってくれたそうだその軍曹は普段から特に親しかったわけでもないのにと、祖父は感謝していたそうです。
戦争が終わって暫くしてから、祖父はその恩人を訪ねてみたそうです。それから二人の交友が深くなり、よく会うようになったんだそうです。軍曹は、初めから助けるつもりなど毛頭なく、見捨てようとしていたのだが、なぜか見捨てることができなかった、と語ったそうです。そしてたまたま家系の話になった時、驚くべきことがわかったそうです。
我が家の先祖は、戦国時代にあえなく没落してしまった小大名なんです。その軍曹は、我が家の先祖に仕えていた家臣の子孫だったのです。軍曹の先祖は、没落した我が家の先祖に、毎年米を送って援助していたんだそうです。いつからか縁は切れてしまっていたのですが、何百年も経ってから、家臣の子孫が、主家の子孫を助けるという、単なる偶然かも知れませんが、なんとも不思議な話です。