長男だけに見える「女性」

友達の家系で起きた話です。ただ、友達もその家族も生きてるので、詳細は伏せます。

「自分の家系は、どうやら呪われているらしい」と話す友人A。と言うのも、その家の長男だけが見る幽霊が居る為です。ですから、女性や次男以降の男性には絶対見えません。Aの家は、代々地主をしていた家系です。そして、その家を継ぐ当主たる長男は必ず、『物凄く髪の長い女性』を見ることになるそうです。Aが彼女を見たのは、4,5歳頃らしいです。

その夜、Aは夜中に尿意を催し、トイレへ行こうと布団から出ました。暗い廊下を歩き、手探りでトイレに辿り着きます。で、トイレのドアを開けると、そこに彼女(幽霊)は居ました。着物を着た彼女は、丁度Aに対して背中を見せる形で立っていたそうです。夜中のトイレに、見ず知らずの女性が突っ立ってるだけでも十分恐怖ですが、彼女はその異常さを更に助長させるような格好をしていました。

「髪がさ、凄く長いんだよ」Aは私に言います。彼女の髪は、トイレの床全てを覆い尽くす程の長さだったそうです。そして、彼女は恐怖で固まるAの方へ、ゆっくり振り向こうとしました。幼いながらも「顔を見たら凄くマズイ」と思ったのでしょうか。固まっていたAは、全速力でトイレから逃げ、父母の寝室へ駆け込んだそうです。泣きながらも、事情を両親に話すA。普通の親なら、「気のせい」とか「見間違い」で済ませてしまうでしょう。ですが、Aの父親は黙って話を聞いてくれたそうです。さて、それから何年も経ったある日。Aと父親は雑談をしていました。そして、なにかの拍子に、例の『髪の長い女性』の話になったそうです。

そこで初めてAの父親は、「その幽霊は、俺も見た事がある」と告白したのです。Aの父親(A父、とします)も、4,5歳頃に『彼女』を見たそうです。但し、A父が見たのは家の庭で、更に夜中でなく昼間でした。そして、やはりと言うべきか…その時も後姿で現れたそうです。日が出ている時間ということもあったのでしょうか。A父は恐がることなく、あの人は誰だろう?と思いながら見ていたそうです。

その時、「見るな!」と叫びながらA父の父(Aの祖父。以降、A祖父)が物凄い剣幕でA父を抱きかかえ、家の中に引っ張り込んだそうです。
その時のA祖父は心底怯えた表情だったそうで、A父が「どうして見てはいけないの?」と聞いても、その理由は決して話さなかったそうです。

A自身も聞いたそうですが、やはり教えてもらえず、結局A祖父は誰にも話さないまま鬼籍に入ってしまったそうで…。結局、その女性は一体何者なのか、何故長男だけが見るのか、どうして後姿で現れ、顔を見たらどうなってしまうのか等々…全く不明です。ただ、A祖父の怯え様からして、決して良い事が起きると思えません。

Aは今、悩んでいます。何故なら、A祖父は大人になってからもその女性が見えていた訳で(見るな!と叫んでいたので)、そのうちまた、彼女を見る事になるのでは…と。そしてその時、彼女の顔を見ずに済むのだろうか?と。

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