とある事情で倒産し廃墟となったホテルの話

今から約10年以上前の話です。
ある湖の近くにある事情で倒産し廃墟となったホテルがありました。このホテルを視に行った知り合いから、「怖かった」とか「霊を視た」などの話を聞き、ぜひ自分で体験したくなったので行ってみることにしました。

私は車でそのホテルへ行きました。湖に近づいていくと、だんだんとそのホテルが見えてきました。ホテルの周りはうっそうと木が生い茂り、不気味な感じがしてきました。ホテルの前には駐車場がありましたが、大きな石が置いてあり車が入れなくしていました。仕方がないので少し手前に車を置き、降りて歩いて行くことにしました。建物の外壁にはスプレーでいたずら書きがあり、いかにも廃墟といった不気味な雰囲気を醸し出していました。

ホテルの正面玄関の前まで行くと、目には見えない壁があるようで前には進めないのです。呪文を唱えてみると壁がなくなり、やっと中へ入れました。ホテルの中は、そこら中に落書きがしてあり、またガラスが破られ床に落ちていました。1階の各部屋を色々見て回りましたが、不思議なことに、ガラスがない窓の前を通ると人の気配がするのです。しかし、窓を視ても人の姿は無く、外の景色が視えるだけなのです。

建物の中央に階段があったので上がっていきました。2階にも部屋がありましたが、真っ暗闇で気持ち悪く、懐中電灯も持っていなかったので中には入りませんでした。階段をさらに上って行くと、屋上が展望台になっていました。 ここもガラスが壊され、誰かが捨てていったのでしょう、ゴミが散乱していました。

展望台へ上がってから約10分くらいして、外から車の音と人の声が聞こえてきました。外を視ると車1台が止まっており、車の側に20代位の男性2人と女性1人が立っていて、何やら話をしていました。その後、その男女3人がホテルの中に入ってくるのが分かりました。

私は帰るため階段を下りていきました。そして途中その男女とすれ違ったのですが、男女3人だったはずが1人男性が増えていたのです。そして、すれ違いざまに私の顔を睨むような目つきで見ていたのです。不気味でした。私は気になったので、後ろを振り向くきましたが、その男性はいませんでした。不思議な体験でした。

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