使用禁止の自殺部屋

独身の女性2人が、ある観光地に旅行へ行きました。この時、2人は旅館の予約をとらず行ったそうです。2人は観光地をいろいろ見て周り、そろそろ宿泊先を探そうかと旅館やホテルに行きましたが、どこも空いている部屋がないと断られたそうです。

1人の女性(A子さん)が、あそこに旅館があるよと言った先には確かに旅館がありました。しかし、その旅館は古めかしい建物で、周りは林に覆われているのです。もう1人の女性(B子さん)が「何か怖くない?」と言ったのですが、暗くなっているし、このまま野宿するわけにもいかないから、とにかく駄目でももともと行ってみようとなり旅館に入ることにしました。

玄関まで入ると、1人の女中さんが来て2人に「いらっしゃいませ」と言いました。A子さんが「すみません、予約も取らず突然ですが、空いている部屋はありませんか?」と言うと、女中さんは「すみません!部屋はいっぱいで、空室がないのです。」と断られたそうです。

A子さんとB子さんは困りはてました。A子さんが女中さんに、「このまま帰るわけにも行かないし、どこでもいいですから泊めて下さい」と頼むと、女中さんは、ちょっと待ってくださいと言ってどこかに行きました。10分位待たされてから、その旅館の経営者らしき男性が来て、「お客さん、泊る所がないようですが、この旅館で1部屋だけ空いています。ただ「そこの部屋は誰にも泊まらせないことにしているんです。」と言うと、A子さんは、「どこでもかまいませんし食事はなくてもいいです。とにかく泊る所があるだけで助かります」といいました。

主人は、この女性2人をその部屋に案内しました。部屋は2階の奥にあり廊下も薄暗く、部屋の前まで行くとドアに「入室禁止」と書いてあったそうです。二人は「ようやく泊れる」と喜んでいました。主人がその部屋の扉を開けると、部屋の中はカビ臭く、じめっとしていたそうです。

二人は疲れていたのでまずお風呂に入り、部屋に戻りました。部屋には布団がひいてありました。部屋の中を見回し、B子さんが「何かこの部屋気持ち悪いね」と言いましたが、A子さんは「一晩だけだし、宿泊代も無料なんだから文句言わないで寝よう」と言いました。

夜中、霊感のあるB子さんが足元に何か重みを感じたそうです。そして起き上がろうとした瞬間、B子さん顔の前に知らない女性が上から覗いていたそうです。B子さんは隣に寝ているA子さんを起こそうとしましたが声が出なかったそうです。その晩B子さんは一睡もできず恐怖で震えていました。

次の日、B子さんから聞いた話を旅館の主人に話をすると、主人は「やはり出ましたか、黙っていてすみません。実は、今から十数年前にそこの部屋で首吊り自殺した若い女性がいて、失恋したらしいのです。供養はしたのですが.....」と言うのです。

A子さんが旅館を出ましたが、B子さんの姿が見当たらないのです。いろいろ探しましたが、いませんでした。旅館の人たちもB子さんを探しても、どこにもいないのです。A子さんは、そのうち帰るだろうと待っていましたが、B子さんは戻って来ないので、旅館の人が地元の警察に話をしました。警察の人が探していたら、旅館の裏側の林の中でB子さんは首をつって死んでいたそうです。

メールアドレスが公開されることはありません。