私は結構怖がりなのですが、怖い話は大好きで、暇さえあれば友達と怖い話をしたり、怖いビデオをみたりしていました。でも自分自身、霊をみたり、怖い体験をしたことがなかったので、実際霊の存在というものを、なめていたのかもしれません。
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ある日私はテスト一週間前というのに勉強する気にもなれず、親に友達のMの家で勉強会をすると嘘をつき、Mの家に泊まりにいくことにしました。夜、家にいることに飽きた私とMは、Mの親が寝たのを見計らい、外にでました。そして、私のふたつ上の男友達のHに車で来てもらい、心霊スポットにいくことにしました。Hは、怖いからと、どちらかが助手席に座るように言いましたが、一人が助手席にいくと、もう一人が後部座席に一人で座らなければならなくなるので、Hの意見を無視して私とMは、車の後部座席に二人で座りました。
そして、地元でも有名な自殺の名所である、橋のみえる場所につきました。夜中とあって、明かりも少なく私達以外車は、まったく通っていません。まわりは薄暗く林で、いかにも出そうなかんじ。車の外にでる気にはなれませんでした。私達は、車の中から、あたりを見回しました。私は、自分一人だけ霊を見てしまったりなどしたくないので、必死でみんなと同じ方向を目で追うようにしていました。そろそろ移動しようかという話になったとき、私は、見てしまったのです…
暗くてなにも見えないはずの、橋の上に立つ青白く光る女の姿を…女は、ぼさぼさの長い髪で黒い足首まであるワンピースで少し前かがみになって、そこに立っていました。私は「ぎゃあ!」と大きな声で叫び、頭を抱えて丸まりました。MとHは、私の声に驚いて、どうしたのか聞いてきました。
私は、橋の上を指差して、ゆっくり顔をあげました…さっきの女の姿は、どこにもなく、薄暗い橋にはなにもいませんでした。私は、もう一分一秒その場にいたくなかったので、Hに車をだすようにきつく言いました。はじめは、怖がらすための私の演技だと思っていたMもHも、その様子を見て静かになりました。
少し走っているといきなり、車が何かにぶつかったように、ガガガっと揺れました。私達は、もうなにも話しませんでした。しばらくしてMとHが眠たくなったと言い出しました。私はさっきのこともあって、少しも眠たくありませんでしたが、車をとめ、みんなで眠ることになってしまいました。そこは、お墓のとなりの道路でした。
二人は、なにも見ていないからこんなところで寝れるんだろうなと思いながらも、また一人だけ起きていて、なにか見てしまったら嫌なので、私も無理矢理眠りました。目が覚めると外は明るくなっていました。とても電車で帰る気にはならなかったのでHに車で家まで送ってもらうことにしました。家につくまでにHは二回人をひきかけました。
気分が悪くなった私は、家につき、居間に一人ですわってボーっとしていました。すると、普段あまり口をきかないない父が、私のところに駆け寄ってきて話しかけてきました。
「お前ほんまに泊まりにいってただけか?変な所いってへんか?」
「いってへん。Mの家で勉強してたけど、なに?」
「お前の後ろに女の人たってたから。」