これは北海道のある都市の話です。
もう十数年前に、ある病院の院長先生が自宅で奥さんを殺して行方不明になりました。それから一週間ばかりして、近くの河原で自殺しているのが発見されました。当然、病院は閉鎖され、長い間は空きビルになっていました。しかしバブルの頃、周辺の土地が値上がりしたのに乗じて割安で貸し出されたため借り手がつきました。
始めは、確か学習塾だったと思います。しかし、回りの住民が気味悪がって子供を通わせなかったため生徒が集まりませんでした。次に、英会話教室が入りました。そのころにはこのビルのいわれを知らない人が多かったせいか繁盛しました。しかし、教室が繁盛するにつれ変なうわさが立ちました。夜遅くまで教室を開くようになると、三階のある部屋で受ける授業だけとても不気味なのだそうです。
夜の十時を過ぎると女の人のすすり泣く声や悲鳴が聞こえたり、隣の洗面所に行くと人の気配を感じたりとそのうわさが広がって教室は他の場所に移ったそうです。その教室のあった場所は、奥さんが殺された部屋だったという話です。