誰もいないのに全ての階に停まるエレベーターの謎

夜の庁舎内…
泊まり勤務の重要な仕事、巡回警戒。人間の念いが交錯する場所では、不思議な出来事が起こる。


午前2時、明かりの落とされた暗い廊下を懐中電灯の光のみで各階を回る。シンと静まり返った廊下に響くのは、自分の靴音だけ。

カツーン…カツーン…

が、時折自分の靴音に重なり別の靴音がなった。

コツーン…コツーン

振り返るが誰もいない。
「またか…」
思わず知らず言葉が口から出る。

1階から11階までの各階の見回りを終えた私は、エレベーターの前に立ち、下りボタンを押す。エレベーターを待つ私に向かって、靴音が近づいてくる

コツーン…コツーン…

エレベーターが到着し、扉が開く。エレベーターの奥はガラス張りで外が見える。1階のボタンを押す。扉が閉まり、エレベーターは下り始める。10階でエレベーターが停止し、扉が開く。誰もいない。当たり前だ、今庁舎内にいるのは私一人なのだから。

9階でエレベーターは再び停止し、扉が開く。8階…7階…6階…エレベーターは各階に停止し、扉が開く。私は何気なく外を眺める。エレベーターの奥のガラスはエレベーター内の様子を写しだしていた。

私を取り巻くように、多くの人が俯いたまま立っているのが見えた…エレベーターがまた停まった…。

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