今から10年程前、私がまだ大学生の頃の話です。当時私はK県にあるK大学に通っていました。私はそれまで霊など信じていなかったのですが、霊の存在を信じなくてはならなくなった話をします。現地ではでると有名なトンネルがあります。 夏、サークル活動のあと、なんだか心霊スポットに行こうという話になり、そのトンネルに向かいました。
私は親友のSの車に、後輩のTと乗り込み、トンネルに入りました。しかし、怖い物知らずの私とTはトンネル内で箱乗りしたりふざけあってました。途中、私がTに「降りて歩かないか?」と言うと、Tも「そうですね、つまらないから歩きましょうよ」と言うので、2人で車を降りて、歩き始めました。Sは 「じゃあオレは先に行っとくぞ」と言い、トンネルの出口へと向かいました。私とTはライターの明かりをたよりに進んでいました。
そこは有名なスポットなので、私達のあとから、別の肝試しグループがやってきました。そいつらは私達の姿を幽霊と見間違ったのでしょう、ブレーキ音と、女性の悲鳴が聞こえました。私とTはその様子をゲラゲラ笑っていました。そんなこんなで、トンネル内を2人でバカ話しながら歩いていましたが、2/3ほど歩いた所で2人とも話すのをやめてしまいました。出口まで早足で歩き、Sの車を発見したとき、Tと私は走っていました。
「2人ともどうしたんだよ?」Sに聞かれたとき、私もTも同時に「トンネルの壁から男がじっと見てたんだ!」と言ってました。そう、2人がしゃべるのをやめたのは、男に見られていた所でした。Sに「オレはなんにも見なかったぞ。そんなに言うのなら引き返して確認しようぜ」と言われ、車で引き返しました。そして、私達が男に見られたと感じた場所にさしかかった時、私とTはまさに同時に「ここだよ!」と叫びました。しかし、そこには何もありませんでした。
ごめんなさい、大して怖くなかったですね。でも、2人が男に見られたと感じ、会話が途切れた場所が同じだったので、私は今でもあれはまさに霊がいたんだと信じています。