ある部屋で一晩過ごすだけのアルバイト

これ俺のイトコの話なんだけど、今から20年くらい前、そいつが族にいた時にヤーさんと付き合いがあって…ある日そのヤーさんに「お前ら一晩1万円のバイトしないか?」って友達と一緒に誘われたんだって。

しかもやることといえば、ある部屋で一晩過ごすだけっていう簡単な内容。あんまりにも話が旨すぎるので聞いてみたら…そのヤーさんが正直に「その部屋出んだよ、これが。」って言って手を下向きにしてぶらぶらしながら…「でもお前らみたいな肝が据わった連中なら怖かないだろ。」って言われたんで結局引き受けることしたんだって。

その夜に友達と二人でヤーさんと一緒にそのマンションに行ったんだって。でもその部屋は普通の部屋で、特にいやな雰囲気もしなくてほっとしたらしい。ヤーさんが「じゃあ、鍵置いていくから後はよろしくな。」って言って出ていっちゃって、しょうがないから二人でビール飲みながらTV見ていたらしい。

30年ぐらい前の話だから、今みたいに1日中放送はしておらず、全部の局が放送終了になってしまった。友達と二人でそろそろ寝るかって事になって、布団敷いて電気消したんだけど、やっぱり出るって事が気になって眠れずにぼうっとしていたんだって。1時間ぐらいそうしていたら友達が話し掛けてきたんだって。

「お前のとこから窓の外が見えるか?」
「いや、見えねぇよ。」
「俺も見えないんだけど、気になってしょうがないんだよ。」
実はイトコも窓の外が気になってしょうがなかったんだって。結局ビビッテいてもしょうがないので、二人で窓の外を見る事にしてカーテンを引いたら、窓の外に落ちていく血まみれの人が見えた。でもその人が落ちていく気がするのに、いつまでも窓の外に見えるんだって。怖くなって二人で外に飛び出して公衆電話からそのヤーさんに掛けたら、ヤーさんが迎えに来てくれて事務所で朝まで飲ましてくれた。

その飲んでいるときにヤーさんが教えてくれたんだけど、不動産屋とかにそういう物件の処理を頼まれることが結構あるらしくって、駄目もとで族とかに厄払いさせてみようかって事で試したんだけど、殆ど駄目だったらしい。でもその後、南米とかアジア系の不法滞在している外国人をそういうところに住まわせたら出なくなったらしいよ。まあ幽霊も訳わかんない外国人相手じゃやり辛かったんだろうね。そのヤーさんは外国人使って結構そういう物件を除霊(?)しまくったらしいよ。

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