「あのね、K。私、関東大震災きたら死ぬんだ。」先日、お昼休みにMが私に言った言葉です。この瞬間、私はご飯を噛むのも忘れて、口をアングリと開け「はぁぁぁ?」とスットンキョウな声をあげてしまいました。
自分が地震で死ぬって、視えるんだ。私は察しました。普通、未来が視える人とか、占い師とかは、自分の未来は視ないとか言うんですけど、Mの場合は視たくなくても視えてしまうんだそうです。「何でそんなことわかるの」私は半泣きになりながらMの肩を揺すりました。すると、Mは淋しそうな顔で語り始めたのです。
3日前、Mが家でゲームをしていると、突然目の前が灰色になり、何もみえなくなってしまったそうです。「え?!ゲームのやりすぎ?!」オロオロしていると、段々と灰色が晴れてきて、辺りが見えてきたそうなのですが、さっきまで居た自分の部屋じゃありません。瓦礫の山です。しかし、崩れている家具などは、見覚えがある自分の部屋のタンスや机、クローゼットでした。Mは困惑して、何故だか「片付けなくては」と思ったそうです。
タンスに手を掛け、力一杯押し戻すと……。その下には、血塗れのMが息絶えていたそうです。絶望した瞬間、何かにグッと引っ張られる感じがして、気付くとコントローラーを握った自分に戻っていたそうです。「私はね、自分の部屋で、タンスの下敷きになって死ぬの。でも、Kは平気。生きてるよ。私、アレ視てから地震で死ぬ人が解るの。Kのオーラはオレンジ色だから、まだまだ生きるよ。でもね、死ぬ人のオーラは灰色なの…」
Mは悲しそうに自分の腕を視ていました。