無いはずの物件

いつもはROMの私ですが、是非カキコさせて下さい。小さい頃から怖い話が好きで色々見たり(テレビやビデオ)、聞いたりして来た中でも上位に入る話だと思う。今日は彼が飲みに行ってて帰ってくるのが遅いので、一人で怖い話を書き溜めています。この時点でちょっとドキドキ。。。

そんなこれから話すこの話も、今日みたいに彼が飲みに行って来た時の土産話の一つでした。因みに私が体験したわけではないので、文章のつじつまが合うようにちょっと補足、補完はしてますが聞いたままに書いてます。

彼は不動産屋として働いており、その上司の体験談。この上司(=Uさん)、仕事柄なのか、霊感が強いのか色々と体験しているそうだ。彼とUさんが飲んでいて話も盛り上がりお酒も程よく回って来た頃、Uさんが「よし、この近くに出るマンションがあるから行ってみるか!!」と言い出した。

彼もUさんが体験した数々の話を聞いているので、そっち系のマンションだと言う事はすぐに気がついた。「いやいや、マジ無理ですよ~。ってか、そんなマンションがあるんですか???」という彼の問いに、Uさんが体験したとあるマンションでの事を話してくれた。

その日、Uさんは知り合いのオーナーから新しいマンションを購入したいという事で色々物件を探していた。その中で机の上に置いていた物件資料が目に入り、オーナーの希望に近い物件だったので、連絡を取り、そのマンションを見に行くことになった。

マンションの部屋を見るためにUさんは管理会社に連絡を取ると、閲覧可能な部屋が1階にあるらしく好都合。通常は、管理会社に鍵を取りに行って中を見るというのが普通らしいが、そこの部屋に限っては「鍵は開いてるから好きに見て大丈夫」という部屋だったそうだ。Uさんはオーナーと落ち合い、例の物件へ。

言われた通り、部屋の鍵は開いていて玄関の扉をあけるとリビングへと通じる廊下が。そしてUさんの目に入ったのは、そのリビングの扉の上にお札が貼ってあったという事。まぁ、物件によっては依然住んで居た人が剥がさずにそのままと言う事もあるらしく、それほど気にならなかったらしい。

そして、リビングに入るとベランダが目に入った。すると、そのリビングの窓の上にもお札が貼ってあったそうだ。『ここにもお札が・・・』とUさんは思い周囲を見てみると、扉という扉の上にお札が貼ってあったそうだ。『なんだか気味が悪いな・・・』とUさんは思いながら、オーナーと二人で部屋を内覧する。

その部屋の間取りはと言うと、リビングを真ん中に左右に1部屋ずつ部屋のある2LDKの物件。購入前提と言う事で、念の為にUさんは戸の閉まりが悪くないか、取り付けが悪くないかなどプロの目で物件を見て回った。オーナーとUさんは、互いにその1部屋ずつを各々に見て回っていた。Uさんが見ていたその部屋に、観音開きになるクローゼットがあったらしい。

そのクローゼットがちょっとおかしかった。観音扉での真ん中の切れ目に、これでもかと言うほどにお札が張りつけられて、まるで中に何かを封印しているかのようだ。通常の人なら、異常さを感じて手を触れないのが当たり前だと思う。だが、Uさんは過去に色々経験してる事もあったりで、一瞬の躊躇いもあったものの『怖い』と言うよりも中に何が入ってるのかという『好奇心』の方が勝ってしまったのだ。

その扉を開けると決意したら行動は早い。貼ってあるお札を剥がし、その扉の取ってに手をかけ、Uさんは力いっぱい引っ張った。すると・・・扉が開かない。。。
『何か引っかかってるのか???』と思って、一生懸命取っ手を引っ張ってクローゼットを開けようとした。しかし、開かない。数度同じように繰り返しても、そのクローゼットは開かなかったのだ。

『駄目か・・・』
そう思って、諦めて取っ手から手を放そうとすると、中から”グイッ”っと扉を開こうとする力を感じた。Uさんは、とっさに扉が開かないように今度は取っ手に力を加えた。中から押してくる力は押すたびに強くなっていき、Uさん一人では抑えきれなくなってきた。最後には、ストレッチのアキレス腱伸ばしの状態で、力いっぱい扉が開かないように踏ん張った。

オーナーはと言うと、もう1部屋の方から「おーい、そろそろ行くか???」と声をかけてくる。しかし、Uさんには答える余裕などない。中からの力のほうが強く、少し、また少しとUさんは後ろに押され少しずつ、少しずつクローゼットの扉が開かれていった。だんだんと開かれた間からは、黒い闇が広がりつつあった。

「もう・・・駄目だ、、、力が入らない。。。」
開かれたクローゼットの中をUさんは見てしまったのだ。ギロリとこちらを見上げる2つの目の玉を・・・。『うわっ』と思って暗闇に目が慣れると、人がこちらを覗くようにそこに人が居たらしい。

Uさん曰く、こうやって振り返って考えてみると、多分あの部屋は古い部屋をリフォームしたものだと考えられるとのこと。お札が貼られていたクローゼットは、和室の押し入れをクローゼットにした感じ。だから、観音扉を開くと真ん中で仕切る間仕切りだけのクローゼットだけなんだと思う、と。その下の方から間仕切りに手をかけて、ニュッっと覗き込むような感じだったんだと思う、と語っていた。さすがに、Uさんもそれを見て「ヤバイ!!」と感じた。途中まで開いてしまった扉を放置して足早にオーナーを回収し、その部屋を去ったとのこと。

後日、管理会社に例の部屋の事を聞こうと電話してみた所、売りにも出してないし見るように部屋も鍵を開けて開放なんてしていないとのこと。しかし、売りに出ていた資料を見て電話をかけた事を覚えていたUさんは、その証拠の資料を探そうと思いスクラップファイルを開いたが、その資料を見つけることが出来なかったそうだ。そのマンションは今もそこにあるらしい。。。

この話を聞いて、ここに来る人なら知ってる人も多いはず、、、有名なホラー映画、「呪怨」。それをふと思い出した。果たして、あのクローゼットに封印していたモノは何だったのか?そして、Uさんが解放してしまったあの部屋は今どうなっているのか。。。気になることはたくさんあるけれど、これで話を終わります。

文章に起こして人にわかりやすく、私が感じた怖さを伝えようとするのって難しいですね。長々とお付き合いありがとうございました。彼の上司という近場の人が経験した・・・という事も手伝ってとっても怖く感じました。最終的にはUさん、ホントに彼連れて行く気満々だったらしいんだけど、あーだこーだでどうにか逃げて帰って来たと彼が言っていたので、そのマンションに行くことはなかったらしいです。

「どのマンションかだけ聞いた?」
って彼に聞くと、彼もどのマンションかだけUさんに聞こうとしたら、一緒に行かないなら教えないと言われたそうです。

メールアドレスが公開されることはありません。