皆さんはコダマネズミを御存知ですか。猟師が獲物を求め山を歩いていると、ぽん、と何かが破裂する音が聞こえる事があるそうです。それは、コダマネズミがはじけた音。近寄って見てみると、そこには、背中が裂けて内蔵を飛び散らかしたネズミの死骸があるそうです。
この音を聞いた猟師は、
そっちはこだまのるいか。
こっちはしげのるい。
ぶんぶきままにくうらす。
なむあびらうんけんそわか。
と3回唱えなければ、猟を続けても獲物は捕れず、なにか障りが起きるとさえ言われています。何故、数ある獣のなかで、コダマネズミだけがこんな無惨な死に方をするのか。こんな言い伝えがあるそうです。
むかし、むかし。今の秋田県あたりの山中にふた組の猟師の組が入っておりました。一方はこだま衆。一方はしげ衆。彼等は集団ごとに山に入り、協力しあって猪や熊、羚羊などの狩を生業としていました。季節はもう冬。冬の事とて獲物は少なく、気落ちしたこだま衆が狩り場を変えようと移動している道すがら。山道に、大きなお腹を抱えた、若く美しい女が蹲っております。
「薪拾いに山に入りましたが、生憎降りる前に産気付いてしまいました。お願いです。貴方達の小屋で子供を生ませていただけませんでしょうか?」猟師にとって山は神聖なものです。女は山に入れない、とされておりました。まして、お産は、死者のケガレ、(女の)月のケガレと共に、最大のケガレとされております。皆さん御存知のように、神社は今でもそうですね。
こだま衆の頭領は憎々しげにこう吐き捨てました。
「女、何処なりと行ってしまえ。ちっ、縁起が悪い、もう今日の狩りは終わりだ!」
女は追い立てられ、悔しそうにこだま衆を睨みながら立ち去りました。
猟を終えたしげ衆たちが山小屋で粗末な食事を取っていると、先程の女が助けを求めてきました。しげ衆にとっても、妊婦など歓迎しかねる存在には違いありません。しかし、あまりに苦しそうで哀れな様子に、しげ衆は、招きいれ介抱してやることにしました。その明け方、女はなんと12人もの赤ん坊を産んだそうです。
驚くしげ衆に、女は厚く礼をのべ、続けてこう言ったそうです。「私は山神です。今日の御礼に、貴方達には山の幸を授けましょう。 明日、狩りをすれば、何でもお好みの獲物が得られるはずです。…それにしても、憎いのはこだま衆。貴方達、猟の帰りに、こだまの小屋に立ち寄ってみるがよい。私の怒りが、並み大抵のものでは無いことが判るでしょう…。」
言われた通り、その日の狩りは、当分遊んで暮らせる程の大猟でした。そして、帰りにこだま衆の小屋によってみると…小屋には誰もいませんでした。しかし、小屋の片隅に…もう、皆さん判りますよね。
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途中でこだまとしげがごっちゃになっとるぞ。