ひいじいちゃんに聞いた話。僕の村には大きな池があるんだ。だから水が豊富で作物のできもいい。秋には村の者ができた作物を乗せた荷車を引いて、それを寺へ持っていく。池の周りをまわってね。その途中、歩いてはいけない、走らなくてはならないという掟があるんだ。
でも、そのときに、どういうわけか毎年不慮の事故が起こってしまう。ひどいときには大けがだけではすまなくて、亡くなったり。じいちゃんが言うには、昔村の者は罪を成したらしい。その大罪の内容は今ではわからないそうだ。でも、村人たちはこの風習をやめることができない。決まりだから。
古い行事を止めようと言った人たちはこっそり消されているよ。A地区のBさん、信頼も厚くて村内会長にと推されてたけど、去年事故で亡くなっただろう?Cさん?あの人はご近所の執拗ないじめで隣村に移ったよ。誰が決めるのかって?それは寄合。じいちゃんも週末に出かけているだろう?そこで誰を追い出すか決めるんだよ。
そうこうしているうちに、また秋がやってきて、再び事故が起こってしまった。じいちゃんに聞くと、決まったことだ、天からの定めだとこともなく言う。まるでロシアンルーレットじゃないか。怖いな…。
じいちゃん僕はどうすればいい?
「逃げろ。」