高校生のころ、放課後に同じ町の友達の家に遊びに行った。マンションの最上階(11階)がそいつの家。そいつの両親は留守だったから子供たち4人でずっと遊んでいた。夜七時ごろになるとみんな腹がへって、ジャンケンで負けた俺ともう一人でコンビ二に買い出しに行くことになったんだ。
その帰り、エレベーターに乗ったんだけど、俺ら2人以外にマンションの住民が2人乗ってた。一人女の人が5階か6階あたりで降りて、俺らが11階で降りた。もう一人は乗ったままで、エレベーターは上がっていったんだ。降りてドアが閉じた瞬間、友達が言った。
「なんで今の人は降りないんだ?」
確かにおかしい。ここは最上階、この上はないはずだ。
そのあと4人でエレベーターを何往復も乗ってみたが、やはり11階より上にはなにもない。気のせいだったんだろうということで一応決着がついた。友達宅からの帰り、3人でまたエレベーターに乗った。すると、11階から上に上っていく感覚がしてもうパニックになってね・・・ 。ひとしきり騒いでふと三人とも静かになったとき、エレベーターが止まった。止まったけれど、ドアは開かない。
「閉じ込められたか?」
「どうなってるんだよ・・・」
1分ほどするとドアが開いた。そこは、見慣れた1階だった。3人ともほっとして、マンションの外にでた。しかし、どうもおかしい。
そう、夜のはずなのに、外は昼間だった。町は人ひとりいないし、車も通ってない。音もしない、建物や空はあるのに他は空っぽの世界?だった
「ここはどこだ?」
「夜だったよなぁ、おい」
小声で言った友人の声が鮮明に聞こえるぐらい静かだった。3人で話し合って、怖いけどもう一度エレベーターに乗ればいいんじゃ?って話になり、また乗った。エレベーターに乗って11階を押し、無事に11階でドアは開いた。戻ってきたらちゃんと夜だったし、友人の家もあった・・・ 。
あの世界はなんだったんだろう・・・
その数日後、
「あの時に上っていった人(確か男の人)は誰?」
「あの静かな世界の住人なのかな」
という話になって、そこの住人の友達に聞いてみた。
「うちのマンションは空き巣や泥棒、霊体験は聞かないけど、昔から神隠しの噂は絶えないんだよ」
なんでも、住民以外の訪問者が何人か行方不明になってるらしい。
神隠しも謎な話だが、あの男の人はなんだったんだろう?