田舎の友人から聞いた話です。彼はバンドをやっているのですが、家で練習すると「うるさい!」といつも怒られるので、彼の家の裏山の公園で練習をするそうです。その日も、いつものようにギターを抱えて裏山の公園に行き、ベンチに座ってギターの練習を始めました。公園の小さな街灯の灯りで楽譜を見ながら弾いていると、「カチン、カチン」と石を叩くような音がしたそうです。最初は、街灯に群がる虫が灯りのガラスに当たっているのかと思ったそうですが、段々と彼の弾くギターのリズムに合ってきたので、「誰かが調子取ってるんだな」と思い、テンポの速い曲に変え「どうだ、ついてこれるか?」と思いながら弾いていると、その音もギターに付いて来て、仕舞いにはフラメンコ張りのテンポになりました。しかし、石の音はリズムに乗ってついてきます。「限界だ」と思った彼は、最後に掻き鳴らして演奏を止めると、石の音も止んだそうです。その話を聞いたとき、私は「怖くなかったんか?」と聞くと、「音楽が好きなやつに悪いやつはおらん」と断言しました。