俺の知り合いで、異常な程山が好きな奴がいた。山に対して性的な興奮すら持っていた。ある時、酒の席でオナヌーの話しになったときは
「山でするのが一番興奮する」
「お前、やばくね?」
「でも、本当の事だからしょうがないよ」
なんて事も言っていた。
ある日オナヌーする場所を探す為に、人が来ないような山の奥へと入って行った。その時そいつは変な光景を見てしまったらしい。腐った魚がギッシリ詰まった穴の様な物、その上に置かれた死にかけの犬、やがて蟻地獄に落ちるように、ズルズルとその犬が沈んでいったそうだ。バキバキ・・「バァオン、バァオン」骨が折れるような音、もがき苦しむ犬の鳴声・・。その後は、穴から這い出て来た何かに追い掛けられたらしい。その何かを聴きたかったのだが、ただ「女、女だ、女・・」としか言わなかった。
「とにかくやばい、急に山が嫌いになったみたい・・」と、そいつが言うので「変な性癖無くなって良かったんじゃね?」俺は笑いながら、そう答えた。しかし、それからもファミレス等で一緒に居ても「山が、山がなあ・・」とか「案山子って、山を安泰にする為に山神が産んだみたい・・、神は女だよ、山の性別は女だよ、山は綺麗だよな・・」と、電波トークを喋るようになり、その内行方不明になった。弟の話しでは山登りするような格好で出掛けたっきり、帰って来ない、との事。知り合いは「山に魅せられたかもな・・」って言ってたよ。