昔住んでいたマンションでのすごく気持ち悪かった出来事。独身時代に住んでた都内のマンションは、４階建だった。ある日出かけようと内廊下に出ると、階段のあたりに人だかりができてる。何だろうと思って近づいてみると、階段の下に血だまりができていた。
何か事件でも起こったのかと近づいて行くと、血は階上から階段を伝って流れてきている様だった。上にあるかもしれないものを想像すると足が竦んだが、このまま放っては置けないので階段を登って行くことにした。一段、一段…踊り場で一旦止まり片目で上を見やると、すでに様子を見に集まってきた数人の住人たちが見えた。しかし、なにやら様子がおかしい。血の発信源を見つめる住人たちは憔悴した様子もなく、腕を組み首を傾げて何か話し合っているようだった。一体なにがあったのか…俺も足早に階段を登った。
現場に到着した俺の目に飛び込んできたのは、血が湧き出るコンクリートの割れ目だった。築30年、それなりに傷みの出てきた外壁材の何の変哲も無い割れ目から、タラタラと真っ赤な液体がこぼれ出てくる。やがてその血が階段を伝っていき、一階に血だまりを作っているのだった。
間も無く警察がやってきてその場は立ち入りできなくなった。その後2時間ほどで血は止まり、階段部分を解体して原因を調べることになった。正直かなり気味が悪かったので早く引っ越したかったが、就職したてで貯金もないので我慢して過ごしていた。
1ヵ月後、大家から住人に説明があったんだけど、その内容がかなり気味の悪いものだった。なんと、コンクリートを剥がして階段を取り壊したが、なにも出てこなかったというのだ。俺を含め住人たちは「きっとコンクリートの中に人が…」なんていうことになると噂していたのだけど。老朽化で基礎部分がさびて、赤褐色の液体が流れ出てきた可能性があるという説明だった。
今思い出しても錆なんかの色じゃなくてもっと真っ赤だったし、そもそも警察が血液かどうか調べてるはずなのに明確な説明がないのが余計に気持ち悪かった。その後階段部分は壊されて、別の場所に新設された。家賃が5000円下がったので住み続けたけど、出て行った人もいたみたい。今気づいたけど…家賃が下がったってことは…やっぱなんかあったのかな。