この話は実は最近体験した話なのですが、内容が内容なので家族や知人には話せず、今までまだ2,3人にしか話した事のない実際に起こった話です。
3年前の夏、私は船を持っている叔父と二人で太平洋漂流などと無邪気にはしゃぎながら優雅な船舶生活を体験させて貰っていました。叔父と私は昔からウマが合い、私はまるで本当の息子のように昔からいろいろな所へ連れて行って貰ったものです。そんな日々を事件が襲ったのは船上生活を始めて5日もしたある夜。
その夜は突然の大嵐で高さ10mはあろうかという大波が船を襲い、私と叔父はゴロゴロとあちこち転がりながら、人生の終わりを予感しました。そのうちに私は頭を打ち気を失い、しばらくして目がさめるともう波が全くなくなっておりました。叔父はひっくり返ったベッドの上は煙草を吸っていました。
「やっかいなことになってもーたわ」
目覚めた私に叔父が投げかけた第一声がそれでした。どうやら座礁してしまったらしくしばし途方にくれているようでした。
「どうしよか…」
「…無線やな」
「出したん?…」
「…今起きたばっかりやからまだや」
無口に煙草を吸いながら二人そんな話をしていました。
しばらくしてとにかく外出てみようと思いデッキに出て確認すると、地面は赤黒い色をした見るからに奇妙な大地で、アンモニア臭がツンと鼻を突きました。
「おーいこっち来て手伝ってくれ」
叔父に呼ばれて私は行かないわけもなく、急ぎ足で船内に戻ったその時、ズズズズズズゥーンと船が沈みまた大きな波が船をひっくり返さんばかりに揺らしました。
「おっおわっおわわわわ!」
何が起こったのかわからず理不尽に荒れだした大海原に自然の脅威を思い知らされながら叔父のもとにたどり着きました。
しばらくして波が止み、太平洋のゆりかごのような波が緩やかに船を揺らします。
「おい、外これ…」
叔父の側に駆け寄り私も外を見ました。そこに広がっていたのは果てしなく続く太平洋でした…。理不尽にも陸は消え、私と叔父は真っ青になり近くの島に急ぎました。その後無事地元に帰港した私達は今まであった事を忘れてしまったかのように振る舞い日常に帰りつきました。陸のない所に陸が出る…そんな事が太平洋では本当にあるんです。海にはまだまだ未知なる物が潜んでいます。島ほどもある生物がいる。そんなこと信じもしなかった私の体験でした。
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水木しげる先生の本だとエイになってたなぁ…陸に船つけて火を焚いたら陸が突然沈み始める。陸だと思ったのは巨大なエイ。みたいな話。