子どもの頃、空中を平泳ぎ出来た。両手の指を思いっきり広げて少しだけ先を曲げた状態で、手を体の前に出して、高速で手のひらを上下に動かすと、空気が掴める感覚が出てくる。これが特に強い時に、掴んだ空気を持ったままお尻の部分をジャンプさせると平泳ぎの体勢になる。こうなったらなぜか空気中を泳げるんだ。小学校中学年の頃、人間は宙に浮かない事を悟ってから出来なくなったが、それまでは色々な場所を上から見ていた気がする。ちょうどドローンで見たような視界が広がっていた。現実感はあったが、夢だったのか、それとも本当に行けたのか…
空中を泳げた記憶があるのは、当時住んでいた家の前の路地およそ30mぐらい。家から10分ぐらい離れたところにある、大きな池の畔の公園。そして小学校、夏休みのキャンプ場の四か所だ。因みに、夏休みのキャンプに一緒に行った友人と昔話していたら、こちらが話しだす前にそいつが空中を泳いだ話をしだした。当時から俺が不思議さんだったのか、実際に友人も泳いでいたのかは不明。