霊園の桜の下に立つ『キナガシサン』

古いお話。自分が大学入って間もない頃。暢気に一人で散歩してると、桜が満開の大きな霊園を発見し、すこし散策してみた。暢気にマターリ散歩してみると、ひときわ大きな桜の木の下に、まだ肌寒い季節なのに、着物を着た人が立っていた。いわゆる、着流し?みたいな格好の人。手には三味線みたいな弦楽器。(楽器の知識詳しくないんでごめん。)

んで、ちょい遠くからそれを観察してると、驚くほど大きな音がした。ベン、ベンって音じゃなくてもっと張りの有る綺麗な音。音の波長が短い感じ。それに少し遅れて、大きな歌声。正直、男か女か判らない声で、言葉も何処の言葉か判別聞かない。しばらくその着流しさんに背中を向けて、その声に聞きほれ、ふいに後ろを向くと、着流しさんがいない。しかし唄は聞こえる。着流しさんが大きく口を開け、楽器を弾いていたから、唄の発信源は着流しさんには違いない。でも、着流しさんは何処にも見えないのに、先ほどと変わらない音量で唄が十分ほど聞こえていた。もしかしたら妖精だったかもしんない。

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