木立の向こう側、明るい草地に丸石が見えた。大きさも、色合いも、丸みも揃っていて、まるで石材店の店先のようだ。数えてみると、12ある。軽自動車ほどもある石が12個だ。それらが一箇所に集まっている。これだけの石があるだけで、充分奇妙といえる場所だった。しかも、不自然に丸い。よく見ておこうという気になった。
近付くと、やはりでかい。表面は風化でざらつき、緑がかった模様が散っている。誰がここで石を削ったのだろう。ここまで石を持ち込むだけで大騒ぎだ。手を触れた。違和感。何かおかしい。これは石ではない。そんな気がした。少し離れて見直そうと歩き出した時、踏みつけた何かが、ぐらりと揺れた。厚さ1センチほどの、大きな平皿のような形の物。その丸みは、そこにある大きな丸石と同じくらいか。こいつらも厚み1センチほどなのだろうか。そして、一箇所にまとめてあるような、その配置。
巣と卵。
大きさ以外は、鳥の巣に似ていた。ある種の鳥は草原に卵をぽんと産み、そこを巣とするが、そんな具合だった。踏んだのは、割れた殻に違いない。巨大な卵を産んだ生き物と、それを割り砕いた力。離れるべきだ。出来るだけ早く、遠くへ。考えられる事はあまりに多い。走り出した。走り続け、逃げ続けた。
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軽自動車並みのサイズの卵の重量を支えるのに、殻の厚みが1㎝で足りるんだろうか…。
ダチョウの卵の殻の厚みがそのくらいじゃなかったかな。
つーことは殻の成分も通常の卵と違う、もっと強度のあるものだろうし、殻のひとかけ持ち帰るだけで新発見だったかもな~