【百物語の録音】「私が死んだ時の話するね」

おれが中3の頃の話だ。夏休みにクラスメイト男女合わせて20人で、軽井沢に大きめのコテージを借りて1泊2日のキャンプに行った。あまり仲良くない奴や嫌いな奴もいたが、大人数で行ったのには理由がある。怖い話を一人5話持ってきて百物語をするためである。もちろん夕飯をみんなで作ったり、川に釣りに行ったりもしたが百物語が日が暮れた後のメインであった。

 

形式はコテージでみんなで円を囲み、ろうそくを100本立てて一話終わるごとに一本消して行き、100話終わったらなにか起こるのかというカンジだ。念のためしっかり100話話したか確かめるためラジカセで録音することにした。 

ひとりひとり話して行き最初はみんな顔が緩んでいたが終盤に近づくにつれて皆の顔がこわばっていった。最後のひとりが話し終わりしばらくたっても何も起きない。
「やっぱ何も無いじゃん。さむー。」
ひとりがそう言うと、皆も安心したような物足りないようなカンジで話し出した。ある奴が 「ちゃんと100話話したかラジカセで確かめよう」と言い出し、皆賛成した。 

再生して確かめながら数えた。どう数えても99話しか話てない。 
「やっぱ一話足りないじゃん。」
ひとりがそう言った。ろうそくは全部消えている。おかしいなと思っているとラジカセが勝手に動き出した。その内容は・・・   
「私が死んだときの話なんだけどね~・・・」  

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