体中に張り付いた葉っぱには一様に奇妙な模様があった

村役場の女性職員に聞いた話。村の女性数名で、山の麓にある小さな墓地の草を刈ることになった。普段はほとんど訪れる者もなく、鬱蒼と生えた夏草が人の背丈ほどに伸びている。中腰になって手鎌で草を払っていると、耳元で子供の笑い声が聞こえた。ぐるりと見回しても、白い墓石が目に付くばかりで子供の姿など何処にもない。

作業が終わり、簡易水道で手を洗っていると友人が声を掛けてきた。
「背中が葉っぱだらけだよ、取ってあげる」
友人は大きな葉をむしり取ると、それを裏返し、
「こういう『ひっつき虫』みたいなのって、大抵裏に棘なんかがあって──」
そのまま黙り込んでしまった。心なしか顔色が青い。

「どうしたの──」
友人の掌を覗き込んで思わず息を呑んだ。慌てて背中から葉を引きはがす。

背中に貼り付いていた葉の裏側には、一様に白く色の抜けたような模様があった。
形も大きさも、小さな子供の手そっくりの模様が。

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