時々、山の中でも、こりゃお参りも手入れも出来ないだろってほどに、柵や壁で囲われた石塔や墓石ってあるよな。どんないわく因縁があるのか知れないけど、何もそこまでって。俺がその昔に見たのは、四角すいの石塔で先が尖ったやつ。俺の身長なんかよりもずっと高い石の柵がしてあって近寄れない。
その周りは見れるんだけど、どっから見ても、どこにもいっさい文字や記号の一つも無いんだよ。でも、西に向いた地面には、ロウソクを立てる台や供え物の台なんかが苔むした石で置いてあった。前の立て看板には「見るな」と書かれてた。
それもかなり古い、細い板の割れたような木切れとでも言うようなものに、墨と思われるもので殴り書きで、「見るな***」だったから、その後に何か書いてあったんだろうね。