日本海側の集落に住む祖父から聞いた話。祖父の家の裏側には、こんもりしたお山があります。日本昔話に出てきそうな長閑な風景です。
ある夜、祖父が寝苦しく、家の外に出て真っ暗な山を見ていました。昼は長閑な風景ですが、夜の山は空よりも暗く、恐ろしいものです。その山の中腹にポっと明かりが灯りました。
「こんな夜中に人がいるのか」
そう思って見ていると、その明かりは、ものすごい勢いで頂上まで動き消えたそうです。
とても人間が駆け上がれるスピードではありませんでした。
「あれは狐火だよ」
祖父は言っていました。