私が小学生3年生の頃に体験した話。その日は日曜日で、午前中は近所の仲の良い友達のまいちゃん(仮名)と縄跳びをして遊んだ。お昼になったから、2人共一度家に帰り、お昼ご飯を食べた。お昼ご飯食べた後に落ち合って、午後は近所に住むもう一人の友達(ひろくん)の家に遊びに行くことにした。
私の家から300メートルくらい先にまいちゃんの家がある。まいちゃんの家で住宅地は行き止まりになっていて、道は途切れている。まいちゃんの家の裏には、5メートル四方くらい小さなの竹藪が広がっていて、ひろくんの家はその雑木林を越えた奥の区域にあった。ひろくんの家の区域に行くには、一度私達の住む住宅地を出て、周り路をして行くような形だったんだけど、私達みたいな近所の子供達は、みんな雑木林を抜けて遊びに行ってた。小さな雑木林だから、抜けるのに数秒しかかからないから、かなりの近道だった。
その日もいつもの様に、まいちゃんの家の裏庭から雑木林に入った。雑木林に入った途端に、体が宙に浮くような感覚(地に足がついていないような感じ)に襲われて、得体の知れない不安でいっぱいになった私は、前を行ってたはずのまいちゃんの姿を探した。触れられるくらい近くに居たはずのまいちゃんが居ない。雑草と竹藪かき分けながら無我夢中で走ったけど、一向に雑木林から抜けられなくなった。
途中座り込んで泣いたり、まいちゃんを大声で呼んだりしたけど、雑草と竹藪を掻き分ける音しか聞こえない。歩いたり走ったり、座り込んで泣いたりしながら、とにかく竹藪から抜けたくてウロウロしてたのに一向に出られず、辺りも暗くなってきて、恐怖も頂点。このまま帰れないんじゃないかと本気で思った時、竹藪の前方に灰色のスーツきたおっさんが立ってた。
近所の人かもと思って、そのおっさんの方に走って行って、泣きながら「道に迷った。家に帰りたい」みたいなことを訴えたら、おじさんはちょっと困ったような顔して、何も言わずしばらく考え込んでる。私はそこで、知らないおじさんだし、もしかしたら悪いおじさんで…誘拐されるかもって恐怖が沸いてきた。突然怖くなってきて、「やっぱり一人で帰れます」って、おっさんに背を向けて走り去ろうとした。
そしたら、おっさんが私をの腕をグイッと掴んで、「このトンネルを進んでいきなさい」って言った。トンネルなんかないのに…って思いながら、おっさんが指差した方向に目をやると、子供の私が屈んでやっと入れるくらいの穴があった。
雑木林の中にぽっかり真っ黒な穴がある感じで、穴の円の周りは灰色っぽく透けてて、中心にいくほど濃い黒になってる感じ。その時は穴に入る恐怖や帰れない恐怖より、おっさんから逃げたい一心でトンネルに入って、無我夢中で走った。小さなトンネルに入ったはずなのに何故か、背筋伸ばしたまま普通に走ってた気がする…w
で、走って数秒のうちに、なんと…うちの家の庭に出た。突然うちの塀から出てきた感じ。うちの庭に植えてたプチトマトの苗の上に転けた。もちろん塀の隣は民家もうわけがわからなかった。もう辺りは暗くなってたはずなのに、何故か周りが明るい とりあえず玄関から家に入ったら、擦り傷つけて汚れた私見て、お母さんが「また探検したか~」って笑ってた。
居間に入って呆然と座ってたら、お母さんがお昼に食べたはずの焼きめし持って登場。そこで時間が戻ってることに気づいて、お母さんに早口で自分が体験したことまくし立てた。お母さんは信じてくれて、小さな頃は不思議な体験するもんよ~って言ってた。で、お母さんと2人でトマトの苗のところで、おっさんに「ありがとう」とお礼をしておいた。ちなみに、午後はお母さんの勧めで、雑木林は抜けず、きちんと周り道でひろくんの家に遊びに行った。
今風邪ひいて熱があるんだけど、竹藪走ってた時ってこんな感覚だった。なんかフワフワした独特の浮遊感があって、地にしっかり足がついてないような感じ。走っても走ってもなかなか前に進まない夢って見るけど、あれに近いかな…すぐそばにあるはずの近所の喧騒も、人の声も全く聴こえなくて、草が擦れる音しか聴こえない。時間の感覚も曖昧で、辺りが暗くなってきてやっと、かなりの時間迷ってると気づいたから、本当に怖かったよ。雑草や竹で擦れてできた、すり傷の脈うつようなズキズキした痛みだけは、いつも以上に強く感じた。
あの時会った灰色のスーツの男の人が、時空のおっさんなのかな。おっさん、あの時はありがとう、変質者扱いしてごめんなさい。今おっさんの顔を思い出そうとしても、何故かのっぺらぼう。どんな顔してたか全く浮かばないんだよね。なんとなく思い出しそうになって、喉元まで出そうになるのに、次の瞬間にはそのイメージがすぐに逃げていくって言うか…夢見て目が覚めて、さっきまで覚えてた夢の内容を、次の瞬間あっという間に忘れてしまう時ってあるよね。あの感覚になんとなく似てる。困ったような表情してたって書いたけど、どうしてだか顔が思い出せないんだよ。唯一思い出せるのは、おっさんの顔はプラスティックみたいな無機質な肌質だったってこと。なんか本当にプラスティックみたいだった。スーツも灰色で、皺ひとつないような感じ、うまく言えないけど…布の暖かさは全くないっていうかとにかくおっさんの存在全てが無機質で独特だった。髪の毛や、帽子をかぶってたかどうかは全く覚えてない
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QyNDAzOTI
こういったすべての不思議体験が事実とは思ってない。
子供の頃は妄想が強かったり、強い印象を受けた夢なんかが記憶に残ってそのうち事実化したりするなんて事はあると思う。
子供の知識、経験不足から来る勘違いも影響するよね。
そういうの含めて不思議体験なんだろうな