うちのおかんから聞いた話。おかんの実家は結構山奥のほうにある。おかんはわらびやキノコなどの山菜採りが好きで、ガキの頃から、冬以外はほぼ一年中、山に分け入っていた。うちに嫁いでくる直前まで、足繁く山に通っていたんだって。たくさん収穫しては、自由市で売りさばいて小遣いにしてたらしい。
おかんがスーパーのレジ打ちしてた二十歳くらいのころ、いつものように収穫ポイント(自分だけの穴場)に向かっていると山道に古ぼけた子供用の自転車が捨ててあった。こんな山の中に自転車があるなんて変だなと感じた。次にまた行ったときには、古ぼけた子供の玩具が散乱していた。行くたびに玩具や子供服が増えていっているような気がする・・
ある日その場所を通ると不意に大きな音が聞こえた。「シューっ!」とか「シャーっ!」いう何か気体が噴出するような音だ。突然のことに驚いたおかんは、わけがわからなくなった。マムシの発する威嚇音なのかなとか、色々考えた。気味が悪いので足早に山を下り、それ以来山に入るのは辞めた。
下っている最中、子供の泣き声がずっと頭の中で響いていたんだって。「あそこには行方不明の子供の骨でもあるんじゃないかねぇ」と今でも自慢げに(?)話している。だったら自分で掘りに行けよ・・と思うけど。