子供の頃にやった『目を閉じても見える』という不可解な遊び

俺とねーちゃんの変な能力というか体験の話。「おもしろい遊びを聞いてきたよ」と、タオル片手にねーちゃん。なんか『目を閉じても見える』みたいな遊び?だった。まぶたを閉じてタオルで目隠ししたら、普通何も見えないだろ?目を開けててもタオルで目隠ししたら、やっぱり何も見えないだろ?「目を閉じたまま目を開けるんだよ」って言うから、よく分からないままに目を閉じて、目隠しして、目を開ける。そしたら見えるんだよ。景色というか、部屋の中が。

『残像じゃねーの』『記憶で再現してるだけじゃねーの』とか言われるだろうが、ちゃんと見える。歩ける。飛べる。踊れる。すげえ!ってなったんだけど、おかしなことに、どこを見回してもねーちゃんがいない。
「生きてるものは見えないんだって」
はよ言えや。怖いがな。でも手探りで触るとねーちゃんはいる。なんだこれ。

声だけ聞こえるねーちゃんとトランプしたりして遊んだ。最終的に外にまで遊びに行ってやってたんだけど近所の人に見つかって「なんかおかしなことしとるけど危ないんじゃ?」ってちくられて、親に説教されて、この遊びは禁止になった。けど隠れて時々やってた。かわりに、なんか寝る時はタオルで目隠ししないと寝られなくなったけど。

久々にねーちゃんとこ泊まって寝る時、タオル借りたらこの話になってさ「今でもできる?私はもうできん、けど面白かったなー」って言ってたら、ねーちゃんが「ずっと黙ってたんだけど、あれのとき、たまにあんたの後ろにおっさんおったんよ」って。なにそれこえーよ、そのとき言えよ、生きてるものは見えないんじゃねーのか。
「だから黙ってたんよ」
アホか。

感覚としては、ギュッと目を閉じて力をぬいてく感じで。薄皮一枚むくような、そんな感じ。上手く言えん、誰か試してみて。目隠しはあったほうが最初はやりやすいかも。今でも調子いい?とたまに見える。けどあんまり見たくない気もする。うっかりおっさんが見えたりしそうで。

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