【寄生】岩から突き出るように生えた二本の黒い腕

友人の話。里帰りした折、裏山で奇妙な物を見たという。幼い頃よく遊んでいた岩場を歩いていると、場違いな物に出会した。黒い腕がニュッと一本、岩から突き出るようにして生えていたのだ。
掌までの長さが彼の背丈ほどもあったらしい。近よると、何に反応したものか指だけがワキワキと動く。微かにギー、ギーという音も聞こえた。何とも不気味だ。

逃げ帰るのも癪に思えたので、腕の届く範囲を慎重に避け、山頂まで登った。下りる時も同じルートを通ったのだが、もう腕はなくなっていたという。

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