順子さんの話。順子さんは当時大阪の大学生でサークルで一緒になった昌子さんと昌美さんと仲良くなってお昼などを一緒に食べたりする友人になった。昌子さんも昌美さんも同じ島から出てきた2人で名前も容姿も似ているが親戚ではなく「食べてきたものが同じだから」と明るい昌子さんは言っていた。
昌美さんはどちらかと言えばおとなしいタイプで、それに微笑みながらうなずくって感じで。そのうち昌子さんがお昼の時間ちょっと用事があるから。って言って三人でご飯を食べる事がだんだん減って行ったらしいのね。でそのうちわかったんだけど昌子さん、同じ大学の榊って男と付き合い始めたらしくて。
榊ってのはあまり良い噂を聞かない人で、遊ぶだけ遊んで女を棄てたり、堕胎させたりみたいな噂をよく聞く人物で。家も会社経営してたり親戚に議員がいたり由緒ある金持ちらしくて。順子さん心配してたんだけど昌美さんが「あの子なら大丈夫」ってやけに言うからお昼は昌美さんと2人で過ごしてたらしい。
学部が違うので昌子さんと疎遠になって数ヶ月がたったある日。昌美さんとお昼をとろうとメールした所、「昌子さんが死んだから通夜で島へ帰る」って返信が来たから慌てて電話したら数日前に部屋で自死したって言われて。とにかく島へ帰る。って言われたらしくて。
で最近は疎遠になったとはいえショックでお葬式には行きたいから。って昌美さんに伝えたら島までの行きかたをメールしてくれて。で3日後の葬式の日に順子さん島へ行く事になったの。電車を乗り継いでバスに乗って最後船で島へ送ってもらう方法で。
で電車とバスで島の近くの場所まで行ってそこから船を出して貰って一時間揺られて島についたんだけど。ほんとにさびれててなにもない島で。昌美さんにメールで送って貰った地図で昌子さんの家に向かったのね。そしたら道中後ろからついてくる女の子がいて。
赤い着物着た黒髪の目が異常に大きい女の子で身長は小学生低学年ぐらいの。「こんにちは」って声をかけるけどニコニコしながら笑うだけで。変わった子だなあ。って思ったけどよく見たら変でお腹が異様に膨らんでるのね。なんか枕でも入れたみたいに。
でその女の子が指差す方向を見たら家があって昌美さんが送ってくれた地図と照らし合わせたら昌子さんの家で「ありがとう」って振り返って言ったらもう姿が消えてて脚が早い子だなあって思いながらその家に入って行ったのね。玄関はあいてたから。
でまず玄関から奥の部屋が見えたんだけど順子さんぐらいの背たけの巨大な石が置いてあって、えっ!って思ったら「よくぞいらっしゃいました!!」って大声が聞こえて、ビクッとしたら一人の老人がこちらを立って見ていたらしくて。
でこの度はご愁傷様です。って言ったらその老人が昌美から話は聞いております。どうぞ拝んでやってください。って言われたので中に入ってどうしたら良いかわからないんでとりあえず石に手を合わせて拝んだんだって。
それにしても線香も花もないから順子さん不思議には思ったんだけど島の風習ってもんなのかな?って思ってたんだけど。あと家には男の老人しかいなくてみか下を向いていて最初の老人以外は顔もよく見えなくて。とにかく異様な空間だったのね。そしたら最初の老人が話始めて。
「昌美から聞きました。昌子は悪い男に捕まったそうで。正月に会ったのが最後になってしまいました。わしゃ悔しい。おいおいおいおい。」ってオーバーリアクションで泣き始めたら他の老人も「おいおいおいおい。」って棒読みで繰り返し始めて。
「悔しい。おいおいおいおい。」「おいおいおいおい。」が延々その後も繰り返されて。下手な劇団の演技みたいな。で順子さん御香典を渡さなきゃってなって遅れましたが。って渡したら最初の老人が「どうも」って自分のポケットにしまって。
やっぱり変だと思って。昌美さんが帰りの船は手配すると言ってくれてたのでそれを伝えたら「はぁい」って間延びした返事をされてさっき降りた海岸へ行ってください。って言われたから海岸に向かったの。そしたら船がとまっててさっきあの家にはいなかった老人がいて。
(ちょっと凄いiPhone落ちる全身に鳥肌が。やばい気がする。)
(あーやばい気がする。ダメかなこれ。)
(頑張ってみる。)
(ちょっと励ましてください。こんな事言いたかないが。ツイートすると消えたり下書きに入るんです)
あ
いけるな
船が動き始めたんだけどその老人が「あんた売春はするんかね」とか「ここで海に落としても誰も気づかんやろね」などをやたら言うから生きた心地がしなかったらしいです。あと老人の足首には輪っか型の痣がついていたんですがなるべく見ないようにしていたらしいです。
で今何時かなと時計を見たら夜の七時でおかしい昼過ぎにはあの家についたのに。ってなって空を見たら真っ暗で。今まで明るかったのに!って思ったら船が着いて降ろされて。そこからのバスがもうなく途方に暮れてしまって。
仕方なくその街にある旅館に行ったら部屋が空いてて一泊する事になって。仲居さんが何処からいらしたの?と聞くからちょっと用事があって島からと言うと。へー変な島でしょ。ってケラケラ笑うから。えぇまあ。と答えるとあの島の人間は汚れてるから。と話し始めて。
仲居さんの話によると元々この街にあの島の人間も住んでたんだけど身分の違いとか井戸に毒を放り込んだとか諸説はあれどとにかくこの街からあの島に追いやられた人間が細々と暮らしてるらしくて。あと話の中に能力という言葉がやたら出てくるので聞いてみたら。
元々この街の人間には能力があるんだけどあの島の人間は汚れた能力でね。ミカヤマラの人間とは交流しないんですよ。って話し始めたんだけど今までケラケラ笑いながらだったんだけど急に「まあ部屋を汚すのはやめてくださいよ。男を連れ込んだり」って言って出て行ってしまって唖然としたんだって。
その時に窓にスッと赤い影が見えたんだけど順子さん見なかったふりしてその日は寝て始発を乗り継いでなんとか帰ってきたらしくて。
で大学へ次の日行ったら「おいっ!」って男の学生に呼び止められて。なんですか?って言ったら榊の友達らしくて話したい事があるって言われて学食に行ったらしくて。
で話を聞いたら榊は悪い人間じゃない。悪い噂は昔の彼女が流したもので昌子さんとは真剣に付き合ってた。ある日昌子さんと連絡がとれないから部屋に尋ねて行ったら夏なのに長袖上下でマスクまでしてて近づかないでって言われたらしくて。
肌が見えてる所を見るとビッシリよくわからない文字がかかれている。本人に聞くと昨日島に帰っていたらしい。
え?正月以来あってないって言ってたのに。あの島の老人。って順子さんは思ったけど。あえて言わなかったそうで。
そしたら榊の携帯がなってミカヤマラさんから電話で「坊ちゃん今すぐその部屋から出てください」って言われたらしくて。って榊の友達が言い始めて。
ミカヤマラ?あの仲居さんが言ってた。ミカヤマラ?ってなったらしくて。ミカヤマラさんて誰なの?って聞いたら榊の家で重要な事を決める時にお伺いをたてる占い師らしくて。
で榊は今どうしてるの?って聞いたら一昨日自死した。って言われて。その友達もよくわからないから今日榊の家に行ってくるってその場は別れたらしくて。
でその次の日また大学に行ったら泣いてる女の子がいたからどうしたの?あの子って周りにいた人に聞いたらあの榊の友達の彼女で一昨日自死したと聞かされたそうです。
順子さん何がなんだかわからずにとりあえず家に帰って頭を整理しようと庭で考えてみたけどよくわからない。占い師のミカヤマラは島の人間なのかあの街の人間なのか。体に書かれていた文字とは。全くわからない。ってなったんだって。でふと目の前の塀を見ると。
塀の上にあの島の赤い着物の女の子、その横には無表情の昌美さんの顔があって。「あっ!昌美さん!」って思ったら女の子が「あんまりかかわりなさんな」って言った瞬間、庭で飼ってる犬の首がゆっくり一回転して落ちたんだって。
「でもうかかわるのをやめようと思ったんですよ」って順子さんは話してくれたんですよね。喫茶店で。僕に。で話してる間も喫茶店の窓にチラチラ赤い影がチラついてもう途中で帰りたくなってたんですね。僕。
「でもまあ私は被害無かったですから」って順子さんは言い始めて。
僕がでも飼ってらした犬がって言って。
「あー確かに棄てるのめんどくさかったですね。近くのコンビニに棄てましたけど」って順子さんが言って。
赤い影の動きが激しくなって。
可愛がってらっしゃったんですよね?って僕が言って。
「まあでもめんどくさかったですね。棄てるの」って順子が言って。
来た時に愛想が良かったウェイトレスが乱暴に水をいれ始めて。赤い影が激しくなってどんどん。
その場にいたくなくてありがとうございました。って逃げるように喫茶店から出て。暫く行った所で嘔吐してしまって。
それでもなんとか駅に向かって歩いているとお母さんが小学生ぐらいの息子を「なんでお前はそんな馬鹿なんだ!」って何回もビンタしていて、息子は無表情でそれを受けていて。
駅のホームではサラリーマンの後ろに立って突き落とす素振りをイタズラっぽく繰り返す老人がいて。
家に帰って携帯を見たら学生時代からの親友から「出会った時から嫌いだった。バーカ」ってメールがきていてなにもかも嫌になって携帯を切って寝ました。
順子さんを紹介してくれた友人に後に聞いたら順子さんは実家の財産を全て勝手に処分して消えてしまったそうです。
よくわからない話。
おわり。
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これはもしかして作り話では?