ある学校の朝の出来事です。その学校にはO君という人がいました。O君は眠い目をこすりながら一時間目の授業を終え、いつもなら後ろの席にいる友人のH君とおしゃべりをしまう。しかし、今日に限ってH君は遅刻なのか休みなのか、学校に来ていませんでした。O君が机でうたた寝をしようとすると「タッタッタッタッタッ」と廊下を走る音が聞えてきました。
「ガラッ!」
H君が遅刻して現われました。
O「どうしたの?今日は遅いじゃん」
H「ちょっと今日、見て欲しいものがあるんだ。授業終わったらうち来ない?」
H君は何やら興奮しているようでした。O君は帰りにHの家に寄りました。
O「なんだよ、さっき言ってた見て欲しいものって?」
H「そうそう、ちょっと変なビデオなんだけど・・」
O「ビデオ?」
H「あぁ・・なんかこれ・・ちょっと怖いんだよな・・」
そう言いながらHは自分の部屋にあるビデオデッキに何やら怪しげなビデオテープを差し込みました。が、突然停止を押してこう言うのです。
H「あ、そうそう、見る前に言っておきたいんだけど。このビデオに出てくる女の首から上を良く見て覚えて欲しいんだ」
H「あのな、このビデオテープなんだけど、俺が文化祭の時に撮ったんだ。だけど、全く別のものが映ってるんだよ・・・。変な女しか映ってないんだよ・・まぁ、いいから見て!」
そう言ってHはリモコンでビデオの「再生ボタン」を押しました。
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暫く音も画像も何もない画面が流れました。
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また暫く見ていると、パッと画面が現われて仏壇らしき物の前に一人の女性がこちらに背を向けて正座しているのです。
O「な、何これ・・」
そう言ってる間に正座してる女の画面が消えてしまいました。
H「な、何か変だろ、これで終わりなんだよ。この後にも俺が撮ったはずの文化祭の映像も何故か入ってないんだ。」
彼らのいるHの部屋に妙な空気が漂い、暫く沈黙が続きます。そんな沈黙を打ち破るかのようにHが突然言いました。
H「で、どうだった?首から上・・」
またHが妙な事を言い出します。
O「え・・?首から上?いや、あれだろ、女が後ろ向いて座ってるだけだろ?」
そう言ったとたん、Hの顔がみるみる青ざめていきました。そしてHが叫ぶようにO君に言いました。
H「嘘だろ!少し横向いてなかったか!?なぁ!ちゃんと首から上見てたのか?」
O「しっかり向こう向いてたじゃないか」
妙な話ですが、同じ時間に同じ場所で見てたビデオなのにO君とHとでは見え方が違っていた様なのです。Hに言わせると「座っている女の首が若干右に向いている」のだそうです・・・。しかしO君言わせると「しっかりと首から上も向こうを向いていた・・・」
O君はちょっと気味が悪くなって、Hの家を出ました。次の日、学校は2連休に入りました。O君が自分の部屋で寛いでいるとO君の携帯電話が鳴りました。電話はHからでした。
H「あ、O?ちょ、ちょっとあのビデオの事なんだけど…あのビデオやっぱりなんか変だよ!俺どうしよう。」
Hは何やら脅えてるようでした。
O「え?どうしたの?また何かあったの?」
そうO君が聞き返すと・・
H「あの女の首・・・だんだんこっち向いて来てる・・」
O君はそれを聞いて流石にゾッとしました。
「も、もうそのビデオ見ないほうがいいんじゃないか?じゃ、またな。」
そう言ってO君は電話を切ってしまいました。
休みも明けて学校が始まった次の週。O君が教室に行くとO君より先にHが教室で座っていました。O君はこの前言っていた「ビデオ」の件をHに聞きました。すると、あのビデオは 「最初は後ろを向いて座っている女が一日見る度に首から上だけ徐々にこちらを向いてくる」のだそうです。
翌週Hが死にました。家の階段から落ちて首の骨を折ったそうです。
「首の骨・・・・首・・・・?」
Hの死とあのビデオとOは何か関係があるのかと追求を試みましたがどういう訳か、Hの部屋からは「仏壇の前に座ってる女のビデオテープ」などどこにもなかったのです。家族にビデオを探してもらったそうなのですが、やはり駄目でした。
今もそのビデオテープは何処かにあるのでしょうか。貴方もお持ちのビデオテープに突然変なものが映ったらお気を付け下さい。次の犠牲者は貴方かもしれません…