畳の下で行われる「古鼬」の宴

同僚の話。夜、自宅で寝ていると、ざわざわという音で目が覚めた。微かだが、耳を澄ませば確かに聞こえる。多勢が楽しく語らっているようで、陽気な御囃子も聞こえていた。近所のどこかで宴会でもしているのかなと、寝惚け眼で思ったという。寝直そうと枕に顔をうずめた時、嫌なことに気がついた。

微かな騒ぎ声は、間違いなく彼の寝床の下から響いていたのだ。夜が明ける頃、声は聞こえなくなった。どうやらお開きになったようだ。睡眠不足を堪えつつ、早速布団を片し畳を跳ね上げる。何も見つからなかったが、なぜかアルコールの匂いだけは残されていた。

釈然としないまま床下を探っていると、やがて家族が起きてきた。 前夜の話をすると、祖父さんがさくりと言う。
「そりゃ古鼬だ。裏山から下りてきて宴会していたんだろう。 昔はよく来てたもんだが、本当に久しぶりだな」
納得は出来なかったが、害はないと判断し放っておくことにした。今のところ、二回目の宴は開かれていないらしい。

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