ある人に話を伺えたのでここに記す。
山の仕事が忙しいときに時々山の宿舎で同僚数名と過ごす事がよくあった。昼間の激務のため、みな夕食後ぐっすりと眠るのが常であった。でも時々 夜中に妙な音で目が醒めることがあった。「ひょーひょー」と叫びながら何者かが歩いていっている。こんな山奥で、しかも夜間のことである。
だれがなんのために叫びながら歩いていくのか不思議に思ったその人は、何度かめに宿舎を出て、声のする方へ歩いていった。すると、山中を白装束を頭からすっぽりかぶった集団がうねうねと歩いている。手にはランタンをもち 中のうちの一人が「ひょーひょー」と叫んでいる。そのうち、彼が覗いているのに気がついたのか。一斉に彼の方を見た。そしてそのうちの数名が彼をおってきたのだ。彼は急いで宿舎に逃げ込んだ。
翌朝、おきて宿舎を出てみると、宿舎の入り口に獣の足跡と毛がたくさんのこっていたという。