山神と決められた量の獲物

俺の実家はかなりの山奥で、山が日常ではあった。親父は若いころ猟師をしてたし、爺様も今でも木を切ったりしてる。確かに山は楽しいし、いい遊び場でもある。でも俺は親父や爺様からずっと言われてた。山への敬意を忘れたらいかんぞ、と。

俺が生まれてしばらくして、親父は猟をやめた。最近聞いたことだが、健康体そのものの親父の身体に急に激痛が走り始め、全く動けなくなっていたそうだ。病院でも原因不明と言われ爺様と相談したところ、決められた以上の獲物を取ってしまってからだ、ということになった。爺様が慌てて山に供え物をして深々とわびをいれた。その2日後に嘘のように痛みはなくなったそうだ。親父は今でも山への供え物を忘れない。

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