山奥で本来ありえない物を見ると怖いよね。
十一月に屋久島を縦走したとき。
夜明け前に新高塚小屋を発って、宮之浦岳を目指して歩いていると、
ちょうど夜明けの薄明のころ、稜線右手に坊主岩が見えてきたんだ。
薄桃色の光の中、ガスの向うに巨大な頭だけがぬぼっと浮んでいて、
何だか不気味だったけど、そろそろヘッデンを消そうと思って立ち止まった。
で、よく見ると坊主岩の上に、何か黒い影がいるのよ。
距離もあったし、まだ暗くてよく見えなかったけれど、(当方、目も悪い)
耳の立った犬?っぽいものの輪郭が…座り立ちしてこっちを見ている。
それが薄い茜色の朝霧を背景にして、はっきりと見えたわけです。
微動だにしていなかったので、最初はハイマツだの岩だのの影を錯覚したのだろうと思った。
しかし、だんだん明るくなり、よく見ると耳や尻尾?が微妙に動いていたので、錯覚ではないらしい。
とにかく何かの獣のように思えた。
急に怖くなって、そそくさとその場を後にしたよ。
すぐにそいつは、ガスの向うに霞んで見えなくなった。
ヤクシカやヤクザルは散々見たけど、鹿や猿ではなかったなぁ。熊もおらんしね。
犬だすると、麓の民家に飼われていたのが野犬化したのかも知らんけど、
ちょっとデカすぎ(秋田犬以上)だし、あんな時間のあんな所にいるかね~普通。
だいたい、あの岩に犬は登れないと思うのだが。
まぁ、それだけなんだけどね。
自分的にはその一瞬だけ、微妙に異空間に紛れ込んだような気がしたわけ。
立ち姿が常ならぬ威容だったというか、何だったのかあれは…
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ヘッデンは、ヘッドライトか
その犬、尻尾が光ってなかった?
中島みゆきファンかも
♪ヘッドラ~ンプ、テールラ~ンプ、旅は~まだ終わら~ない~