うちの家系は代々超能力を発現した者が後継ぎとなる。で、長男の兄貴が後継ぎに決定した。
超能力と言ってもかなりしょぼい。言うに値しないくらい。例えば、疳の虫が騒ぐと襖や障子が裂ける。おしめを取り換えようとした使用人が悲鳴を上げて、家人が駆けつけてみると、体中につねられたような痣ができていた。往診に来た医者が注射しようとすると泣きだし、そばにあった卓の一枚物の天板に真っ二つにヒビが入り、屋根瓦が轟音とともに流れ落ちてきた。能力の件で訪ねてきた態度がひどく横柄な軍人が、帰りの汽車の中で急死。などなど。子供のころの話が多い。
親父は兄貴の能力は「はずれ」だって言ってた。親父自身も「はずれ」なんだけどね。三、四代おきくらいに念力系の相当ヤバイのが出るらしい。最近では曾おじいちゃん。会ったことは無いんだけどね。あとは、後継ぎを決めるためのコジツケみたいのも昔は結構あったそうな。「触った米粒が必ず水に浮く」みたいな。