【第二次世界大戦】ドイツ軍が遭遇した村人達の消失

嫁の爺さんがドイツ人なんだが、その人が第二次世界大戦中に体験した話。嫁の爺さんのいた部隊は今のバルカン半島の辺りにいた。ある時山に監視場を作るためにその部隊が派遣されることになった。山の麓には人口がだいたい50から60人程度の村があった。最初は山の麓に野営して、監視場が完成するとそちらに移ることになった。

麓の村から監視場に部隊が移った次の日の朝、たまたま麓の村に降りた兵士が異様な光景に気がついた。人が一人もいないのだ。それどころではない。彼らが飼っていた馬や牛、豚、鶏、犬や猫までいない。部隊長は報告がくると当初バルカン半島でドイツと対立していた共産パルチザンが連れ去ったか、もしやナチス内で色々と黒い噂のあるSSが何かやったかと考えた。しかし、この辺りのパルチザンは一掃した上にパルチザンやSSが馬や牛、豚、鶏、犬や猫まで一緒に連れ去るのは難しいし、おかしいと思いなおした。

取りあえず部隊長は辺りの偵察を命じた。嫁の爺さんたち10人程度は村を中心に捜索した。しかしどの家の中にも誰もいなかった。監視場まで戻る途中、監視場がある山の尾根続きの山を探していた兵士と遭遇した。兵士は部隊長に報告に行く途中だったが、その山の森(村人たちが薪やきのこ、木の実などを拾っていた森だった)の中でとんでもないものを見つけたと言っていた。嫁の爺さんたちが森へ向かうと、森で探していた兵士たちがいた。彼らが指さす方向には大量の服や靴、帽子などがあちらこちらに落ちていた。見覚えがある服、これらは村人が着ていたものだった。

さらに奥へ進むと人毛や動物の毛がこれまた大量に落ちていた。恐怖にかられ進むと森が無くなり、急な断崖で終わっていた。よく見ると動物や人の足跡があったがすべて崖の淵で途切れていたが、崖下を除いても何もなかった。その日の夜、尾根続きのあの山の方から大勢が何か言っている声が聞こえた。そしてものすごい閃光と大声がこだましたと思うと、以前のような静かな夜に戻った。

部隊長はこの事実をどう伝えようか迷ったそうだが、取りあえず村人たちが夜逃げした、パルチザンに合流した可能性があるので注意されたし、と現地司令部に伝えた。間もなく嫁の爺さんの部隊は別の場所に移ることになったのでその後そこがどうなったか分からない、ということだった。

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