【不気味な話】電話から聞こえる子供の声

22歳の時のこと。その日、友人のKとNがうちに遊びに来る予定だった。昔から溜り場になってた俺の部屋は、予告もなく誰かが遊びに来るということが頻繁にあった。

当日も二人が何時に来るかなんて気にしてなかったんだが、Kから電話連絡がきた。Kの自宅の電話から俺の自宅の電話にかけてきていた。『19:00に着くように行くわ』という内容の電話。ほかにも何かしゃべったと思うが詳細は覚えていない。Kとの電話が終わり、受話器を戻した瞬間、継いでNから電話が。Nも自宅の電話でかけてきた。
『ちょっと遅くなるけど21:00には行ける』
『いまKから電話があって19:00に来るってさー』
『あ、そーなん。じゃあ先にご飯でも食べといてよ。…ところで、お兄ちゃんたち来てはるん?』

当時、兄はすでに結婚し、子どももいて、家を出ていたのをNも知っていたから、そんな風に聞いてきたのだ。
『いや、来てないよ』俺。
『あ、じゃあテレビの音か。』N。
『テレビついてないよ』俺。
『え?…混線?まあいいや、とにかくまたあとでねー。』N。

19:00。Kが到着し、俺の部屋に入るなり『ちぃーっす!…あれ?ひとり?』と聞いてきた。
『おっす!…ん?ひとりやで。N遅くなるって』
『いや、Nやなしに、兄ちゃんら来てはるんちゃうの?もう帰りはったん?』K。
『は?兄貴ら来てないで?…さっきNも電話で同じこと言うとったけど、なんで?』俺。
『さっき電話でしゃべってたとき、電話ぐちで子どもの声が聞こえてたから、Aちゃん(俺の姪)遊んでるんやぁ…て思ったから。テレビの音やったんか』K。

二人が同じようなことを言う。俺はこの二人が示し併せて、俺をからかってるんやなと思った。
『もーちょっとマシな冗談やないと俺はひっかからへんで(笑)』
とKは、キョトンとした顔で、
『はぁ?何を言うとん?』
『…Nと二人してジョーダンぶっこいてんやろ?』
『どういうこと?』
『せやから、電話で子どもの声するって…Nも言うとるん?』
『おぅ。』

……沈黙。結局、Nが来るのを待って、二人がそろったところで、話を聞いてみると『会話の向こうで楽しそうにハシャイだ感じの子どもの声が途切れなく聞こえてた』と言う。部屋には俺ひとりで、テレビもついてなかった。混線中によくあるノイズのようなものは聞こえず、クリアにずっと会話が出来てたということらしい。いまだにこの話は話題にのぼることがあるが、結局、あの子どもの声がなんだったのか解らずじまいであり、その時以来、電話でおかしなことはない。

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