京都で見た天狗の様なもの

うちの親戚は、ほとんど京都に住んでいる。
小学生の頃、電車で京都のある親戚の家へ行くことになった。
席は前方の椅子と向かい合うようになっていて、 赤の他人のおばさんと、背広を着た20代位のビジネスマンと、向かい合って相席した。

トンネルをくぐって抜けると、窓いっぱいに雄大な山々の手付かずの自然が現れた。
と、一つ不思議な物体が見えた。 窓際のおばさんも「アレ何?」とつぶやいた。
ビジネスマンも「え?あれ何だ?」。 いくつかある山の一つの頂上にある大きな木の枝に、山伏の格好をした人間(らしきもの)がいる。 そいつは大きな放物線を描いて山々に飛び移る。 呆気にとられて眺めているうちに、また電車はトンネルに入り、次に出たときはもう姿は無かった。 3人とも無言で顔を見合わせて、見たことを確認。 なぜか世代や性別やあらゆるものを超えた奇妙な連帯感を感じてしまった。 『耳袋』にも同じ体験した人がいて、結構皆見ているのかな?と。 こういう不思議なことって、近代的なものと非近代的なものの狭間で起こりやすいのかもしれない。

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