深夜に佇む白装束の老婆

母さんが体験した話なのですが、『今までで一番怖かった体験』だそうですので、投稿します。
今から30年ほど前(大昔)、母さんがまだ車の免許を取りたての頃、夜に実家の田舎を車で走っていた時だそうです。田舎、しかも昔なので街灯はほとんどなく、おまけに周囲は田んぼ。下手に脱輪しては大変と慎重に慎重に運転していたそうです。

数少ない20メートルほど先の街灯、その下に、何やら白い靄の様な物を見たそうです。しかしまだ距離があり、はっきりとソレを視認出来なかったので、そのまま車を進めたのです。やがて距離が縮まり、『ソレ』が何なのかをはっきり見てしまった時、母さんの背筋は凍りました。

ソレは、白装束を纏い、髪を振り乱しながら母さんに向かって手招きをする老婆だったそうです。その顔はとてもこの世の者とは思えないほど青白く、形相は鬼の様だった、と話してくれました。母さんは思わずアクセルを噴かし、脇目も振らず走り去りました。

しばらく走ったのち・・・ああ怖かったと胸を撫で下ろした直後、閉め切っていたはずの窓の外から
『貴女、気付いていたんでしょう……?』
と怨めしそうな声が響いてきました。

以上、母さんの体験談でした。信じるか信じないかは御自由に……。

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