首から上の無い散歩者

私がまだ女子高校生の頃のことです。
当時は定期試験の真っ最中で、これまた恒例の一夜漬けに励んでいた私は、明日行われる日本史の年号等を必死に暗記していました。時間は忘れもしない午前3時前。ちょっと勉強に飽きていた私の耳にキイーキイーと油のきれかかったような自転車の音が聞こえてきました。

「あれ、こんな真夜中に自転車で走ってる人がいる。でも、新聞配達の人にしてはちょっと時間が早いよなー」
なんて思いながら、しばらくは教科書とにらめっこしていました。でも、その音はだんだんこちらに近付いてきます。
「えーい、どんな人が今ごろ散歩しているのか、確認してやれ!」
私は、自分の部屋の窓からそーっと下を覗きました。

道路の方からだんだん音は近付いてきます。キイーキイー…。音の主がみえてきました。ずいぶん古い形の自転車に乗ったおじさんでした。いえ、年齢ははっきりしません。だって、自転車に乗っている人、首から上がなかったんです。

「げっ!」と思いつつ見ている私の視界の外に自転車に乗った、ズボンに白いシャツを着た男性は、ゆっくりとフェードアウトしていきました。後に残ったのは、キイーキイー…という音だけ…。自転車の走っていく先にはフェンスがあるだけの行き止まりだったんですけどね…。

あ、その自転車ですか?一番近いタイプとすれば、新聞配達で使われているような黒い、昔からある、がっしりした自転車かなー。

もちろん、勉強はそこでおしまい。すぐに布団にもぐりこみましたよ!

私としては、変なもの見たことよりも、翌日の日本史のテストの出来のほうがずぅーっと怖いものでしたけどね…。

『首から上の無い散歩者』へのコメント

  1. 名前:匿名 : 投稿日:2017/04/27(木) 09:37:52 ID:
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    近所の といっても直線1kmくらいだけど
    交差点のど真ん中で上半身だけ出して
    さわいでるおっさんがいる
    車通っても平気らしい

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