軍服を着たじいちゃんを見た翌日に…

亡くなったお祖母ちゃんの話。ばあちゃんは戦争未亡人だった。終戦を迎えてもじいちゃんは帰ってこなかった。
ある寒い夜更けのこと。幼子と布団に入って寝ていたばあちゃんは誰かが玄関の戸を叩く音で目が覚めた。そろりと起きて戸を開けると軍服姿のじいちゃんが立っていた。ばあちゃんは嬉しくて大声で泣いた。じいちゃんは寒さで体が凍えて冷たかったので、すぐその晩は布団に入り親子で川の字になって寝たという。

すぐ朝になり起きるとじいちゃんの姿はなかった。そこいらじゅう探したけどいなかった。ゆうべ脱がした軍服もない。訳がわからず、呆然としていたらその日じいちゃんの死亡通知が届いたという。

父親のばあちゃんです。書いていて涙が溢れました。遺族年金が出ましたが、朝早くから夜遅くまで働き女手ひとつで4人の子供を育てました。何で再婚しなかったの?と聞いたら、男は戦争で死んだから相手がいなかったのさと笑っていましたけど。哀しい実話です。

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