都市伝説『メリーさんの館』の真相

「メリーさんの館」とは関西方面で派生した、都市伝説上の心霊スポットである。この話が最初に世に出たのは、90年代前半、「恐怖の百●語/関●テレビ系」や、「ねないで●談話」などの深夜番組の中で紹介されてからである。その後、タレントJ.I氏が出す単行本の中でも、取り上げられ一気に全国拡大するのである。

話の概要は、六甲山中には昔、ドイツ人の捕虜収容所があり、知らないで足を踏み入れると、彼ら(子供)の霊に呪われるというものだ。「メリーさんの館」は本当に実在するのかという話になるが、結論を先に言うと、六甲山中にある「六甲山ホテル」がモデルになっているようである。

実は、神戸という地はもともと貿易港としての色彩の他に、ドイツ人に関しては、六甲山裏の有馬方面にドイツ軍の食糧庫があったこともあり、「六甲山ホテル」が、第二次大戦前・戦時中はナチス・ドイツの軍駐屯地として、戦後は米軍管理下のもと「ドイツ人捕虜収容所」とされていた時期があるのである。

しかし収容所といっても、少しの間ドイツ人が米軍に拘留されていただけというのが実状のようで、「収容所内で殺害された霊」がでるというのは単なる噂話でしかない。「六甲山ホテル」は昭和23年に阪急に返還され、現在では格式高いホテルとしてたくさんの人々から親しまれているのは周知のとおりだ。

おそらくは、大戦中「ナチス・ドイツ」のおこなったユダヤ人大虐殺の舞台、「アウシュビッツ収容所」のイメージがリンクして、独自の怪談話を形成していったものと思われる。

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