人面疽のホルマリン漬け

我が国の最高学府であるT大。ここには100年をゆうに超える伝統がもたらした、様々なものが存在するという。これは、T大の文化祭での出来事である。

ある男性が医学部の催し物を見ていた。そこで雑談をして仲良くなった教授が法医学の資料室を見せてくれるという。男性はとても興味があったので、「やめてもいいんですよ」という教授について部屋に入った。そこには無数のホルマリン漬けの死体が並んでいた。奇形の死体もかなりの数があり、いろいろなサイズの壜に保存されていた。

「変わったものをお見せしましょう」
そう言って教授はひとつのガラス壜を男性に見せました。そこには握りこぶし大の茶色く変色した塊が入っていた。それは人面疽だった。明治中期にとある女性の腿から取ったもので、T大でも詳細な記録は残っていないという。

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