取り壊しが決まっている『曰く付き』アパートに泊まった話

引っ越しした友達ん家で寝てたら、夜中に部屋の隅でガサゴソ音が…。隣のベッドで友達は寝てるし、何?と思って目をこらしたら、なんかぼんやりとした影みたいのがある。気のせいか思って寝っ転がった。でも、ガサゴソっちゅー音はなり続けるんだ。今度は入り口近くの、押し入れのほう。距離的には3メートルくらいなんだけど、なぜか音はよく響いてる。

びびりながら押し入れ見てたら、なんかカリッ、カリッって音が…やべー、やべー、とっとと寝よう思うんだけど、目は押し入れに釘付け。見えるんだよ、押し入れの隙間から、目玉みたいのが。その横…襖の隅に白い指が並んでる。カリッ、カリッっていう音。襖を開けようとしてるとしか思えない。もういい、何かの見間違いだ、それか猫!強引にそう思いこんで布団をかぶった。猫に指なんかねーよ、とびびりながら自分に突っ込みつつ、カリッ、カリッっという音は、自分が眠るまでずっと聞こえていた…

朝起きたら、開口一番に友達が「お前昨夜、何か見たろ」だって。「このアパートって、あと何年かで取り壊されるらしいんだよな。そんな古い建築ってわけでもねーのにさ、こりゃいわくつきってやつ?お前がさ、頭から毛布かぶって寝てたとき、お前の足首をぼやっとした白い手みたいのがつかんでてさ、寝るに寝れなかったんだよ」まじで背中に寒気が走った。

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