友人の話。
夏山キャンプでテントを設営していた時のこと。
ペグを地面に打ち込むと、テントの周りの地表が急に波打ち始めた。
何事かと引き抜くと、いきなり地中より、柔らかく湿ったものが飛び出してきた。
どうやら設営地の真下に潜んでいたらしい。
彼の悲鳴を聞いて集まった仲間の見たものは、彼の身体に巻きついている巨大な軟体動物だった。
蒼黒い体表に、七色の筋がいくつも走っていたらしい。
ミミズに似ていたが、嫌になるくらい大きくて、且つ美しかったという。
それは彼から引き離されると、意外に機敏な動きで地中に潜り込んでしまった。
身体表面に鋭い刺を持っていたらしく、彼は身体中傷だらけになっていた。
しばらく熱を出して寝込んだそうだ。