「二股トンネル」での恐怖体験

私が小さい頃、唯一家族全員でこういう体験をしました。
岐阜県の某国道沿いに丸山ダムというのがあります。そのダムのすぐ横のトンネルであったことです。道は、車一台がちょうどで、すれ違えれない幅で、所々に対向車避けがありました。私たちは、夕方、旅行からの帰路を急いでいました。

トンネルの少し手前に差し掛かったころ、運転していた父が「あれ?いつのまにか後ろに変なのがおるぞ。」と言いました。後部座席の私がふりかえると、少し後ろに、ジープがいました。くねくねとした道なので、角を曲がる度に見え隠れしていましたが、変なのです。

蛇行運転するジープの上で、5~6人が両手を挙げてゆらゆら、ゆらゆら踊っているのです。子供ながらに何だか不気味さを感じたのですが、「見届ける」ことで、それが現実のものであるとしたかったので、ずっと、みていました。父は、暴走族だと思い「トンネルを出たら、車を寄せて先にやろう」と言いました。

トンネルに入りました。母は今でもその時のことを覚えています。母は、トンネル内で壁に大きく映りゆらぐ、ジープの上の人らしきものの影を見て怖かったそうです。トンネル内には、変なうめき声が響いていました。 (この声は家族全員が聞いている。)私はずっと後ろを見ていたのですが、驚いたことに、私たちがトンネルを出た後、そのジープはトンネルの中から出てきません。

ジープのシルエットとライトはずっとトンネルの中にあるのです。そしてその後方から、何処かの営業者用のライトバンがトンネルに入り、そのジープのシルエットをすり抜けて先に来たのです。私は父に言いました。「あのジープよりうしろのライトバンが先に来た!」その時、兄も「俺も見た」といいました。父は『トンネルを出て最初の対向車避け』に車を止めました。「どっちみち先に行かせよう。来る車を待ってみよう。」

その後、私たちの横を通ったのは、ライトバンのみでした。実はこの話は、附に落ちないまま家族みんなで気のせいだとか、思っていたのですが、あれから15年以上立つ去年、偶然聞いた他人の怪談話に「二股トンネル」が出てきたので、怖々ご報告させていただきました。

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