瓦礫始末のバイトでした恐怖体験

僕は阪神大震災を経験しました。
地震から1週間ほどたった頃。友達にさそわれて瓦礫始末のバイトをしていた時の事でした。現場は火事で家が焼けてしまい、あたり一帯ほとんど灰だらけでした。「寒い寒い」といいながらせっせと瓦礫をかたづけていました。すると、ふとある一角から声がするのです…。

「熱い、熱いよ…。体が溶けそうだよ…。」
今にも消え入りそうな声で、ぼそぼそと聞こえてきました。
僕は「まだ生きてる人がいる!」と思い、責任者(Aさんとします)を呼び、声がしたほうの瓦礫を今までにない位の力でどけました。しかし、そこには何もありませんでした。Aさんに「お前何ふざけてんねん!!こんな時に!!」かなりこっぴどく怒られました。僕はあれ~確かに声がしたのに位しか思っていなかったのですが大きな間違いでした…。

次の日はまた同じ現場でした。行きたくないなぁと思いながら出発の準備をしてました。すると、地震が来たような気がしました。家族に「またゆれたねぇ」などと話したんですが、家族の反応は????でした。「えっなんでゆれたたやん…」何度聞いても家族は首を横に振るだけでした。

そして家を出てAさんが車でくるのを待っているときでした。また先ほどと同じゆれを感じました。今度はさっきより激しさを増していました。そのゆれで立っているのもままならない状態で、しゃがみ込んだその時です。
「熱い!!!!!!」
僕の右手にはくろくやけこげた2本の手がしっかりと組み付いていました。
「うぎゃぁぁぁぁ!」
気付くと、かなりでかい声で叫んでました。

も~死に物狂いでその二本の腕を振り払おうとするのですが、しっかりと絡み付いて離れません。反対側の道路から僕の名前を呼んでいるAさんの声がしました。僕はふらふらしながらAさんの車に乗り込みました。2本の絡みつく手はいつのまにか離れていました。しかしAさんの様子がおかしいのです。

車に乗り込んだ僕に、こんなことを言ってきました。
「お、お前大丈夫か??さっきお前の腕に黒焦げの人間がしがみついてたで…」
そして、捕まれた腕には「熱いよ、助けて」という文字が火傷になっていました。

昨日声が聞こえたところをよく探してみると、瓦礫だと思っていた物が実は…黒く焼けコゲたたくさんの骨でした。震災で亡くなってしまった方々のご冥福をお祈りします。

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